ラム肉の対日輸出を上方修正、畜頭数減少、価格は上昇へ

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、2008年の豪産ラム肉の対日輸出見通しを上方修正したことを明らかにした。豪羊肉生産そのものは、干ばつや穀物生産との競合で飼育頭数は減少していくという。ただ、価格は上昇基調にあり、日本をはじめアジア、中東などの市場では今後、需要拡大を予想している。豪州の基準では食用の羊肉には、生後1年までで永久歯のない「ラム肉」、10カ月以上で永久歯が生えた「マトン肉」に区別される。一般的にラム肉の方が味が良く、食肉として重宝され価格も高い。MLAによると、08年のラム肉の対日輸出は前年比6%増の約9,000トン(船積み重量ベース)に拡大する見通し。前回の予想から上方修正した理由として、「最大の輸出先である米国の需要が米ドル安などの影響で縮小して日本の市場価値が高まったことに加え、日本の小売り・外食双方の需要が伸び、前期の輸出量が好調に推移したこと」を挙げている。豪産ラム肉の対日輸出は、最近まで急拡大していた。02年には5,400トンだったが、4年後の06年には倍増し1万1,900トンのピークに達した。ところが07年は干ばつの影響で全体の畜頭数が減る一方で食肉解体数が増え、生産・輸出とも増加したにもかかわらず、日本向けは8,500トンの水準にとどまり、反動で落ち込んだ格好となっていた。日本は国内の羊肉需要のほとんどを輸入に頼っており、中でも豪州産のシェア率は大きい。日本の財務省の貿易統計によると、07年の豪州産羊肉の輸入量は1万5,601トンでシェア率は約69%。金額は91億5,259万2,000円で同約71%に達している。2位のニュージーランド産は6,969トンで約31%。この2国で輸入量のほぼ全量を占めている。同統計では厳密にはマトン肉を含む「羊・やぎ肉」の品目に分類され、算出方法も異なるため、豪州側の数字とは単純比較できないが、日本の羊肉市場の豪州依存度がきわめて高いことは確かだ。■ニッチ食材からの脱皮図れるかもっとも、最近のジンギスカン・ブームで浸透してきたとはいえ、日本の羊肉需要は限定的でまだまだニッチな食材。07年に37万7,900トン(MLA)あった豪産牛肉と比較すると44分の1の水準にすぎない。また、豪州からの輸出先シェア率の地域別ランキングを見ても、人口規模の割にはそれほど大きな輸出市場ではないことが分かる。豪農業資源経済局(ABARE)が今年3月に発表した豪産ラム肉輸出に関する統計(06/07年度)によると、輸出先の1位は米国で全体の28%、次いで、中東(13%)、欧州連合(8%)、中国(8%)、パプアニューギニア(7%)と続き、日本は6位(6%)となっている。さらに、豪ラム肉産業の供給能力は縮小傾向。対日輸出は直近の増加が予想されるものの急拡大は見込めそうにない。この8月に公表した豪ラム肉生産の年央見通しでMLAのウィークス主席市場アナリストは、07/08年度の豪産羊の畜頭数は前年度比6.5%減の約8,000万頭と1920年代以来の低水準になるとの見通しを明らかにした。縮小傾向は今後も続き、2011年には約7,600万頭まで落ち込むとの予想だ。昨年までは干ばつで処分される頭数が増えたため、頭数が減っても生産と輸出は逆に増加したが、今後5年間はほぼ横ばいとなる見通しだ。この要因について同アナリストは「干ばつと、羊飼育から穀物生産への移行」を挙げている。つまり、干ばつで牧草が育たなかったため羊を処分せざるを得なくなった後、国際商品価格の高騰で穀物生産への転向が進んだというわけである。それでもMLAは、高品質と安全性、ヘルシーをキーワードに、豪産ラム肉の日本市場への浸透を図っている。日本人の味覚には従来、羊肉は臭みがあるとの評価が根強かったが、「羊毛用に育てられた成羊のマトンを副産物として食べていたころの話」だとして、質の高い食材として積極的に売り込んでいる。著名料理研究家とタイアップして豪産ラム肉を使ったレシピを紹介させるなどメディア戦略も進行中だ。今後供給は絞られてくる一方で、MLAは需給バランスのひっ迫でラム肉価格は上昇すると予想している。日本でも、ジンギスカン用だけではなくフランス料理やイタリア料理用の高級食材として、高収益の輸出商品に育てることもやり方次第では不可能ではないだろう。

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