用途多様なヤギ産業、生産拡大の可能性

 ヤギには食用の肉、モヘアやカシミアなどの高級毛糸、乳製品と幅広い用途がある。現在の国内生産は限定的だが、豪州は世界最大のヤギ肉輸出国であり、成長の余地は大きい。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が引用している国連食糧農業機関(FAO)のデータ(2005年)によると、豪ヤギ肉生産は世界で31番目、全世界生産の0.4%しかない。しかし、輸出量は世界最大で、2位のパキスタンの4倍以上(04年)と群を抜いて多い。06/07年度の輸出量(胴体重量)は1万7,994トン、輸出高(FOB)は7,700万豪ドルとなっている。ヤギ肉の国内市場に関する詳しい統計はないが、MLAによると05/06年度の時点で全生産の96%とほとんどが輸出されているもようだ。06/07年度の輸出先(数量ベース)は、米国(58.3%)と台湾(24.3%)が全体の8割以上。米国ではラテン・アメリカ系移民の需要が高いという。また、同年度の生体輸出量は7万5,344頭、生体輸出高は990万豪ドル。生体の輸出先はマレーシア(75.1%)とシンガポール(7.9%)、インドネシア(7.9%)の3カ国で全体の9割以上を占める。ヤギ肉の世界需要の動向について、MLAは「世界的な需要に対して供給がはるかに不足している。近い将来に需要に供給が追い付く可能性は低く、豪ヤギ肉産業は潜在的な成長余力が非常に大きい」と指摘している。牛肉や豚肉のように宗教上の制約がほとんどなく、ヒンズーやイスラム教徒の巨大市場の需要が見込めるほか、脂肪分が低いため健康志向が高まっている西洋市場の需要も拡大しそうだ。■高級毛糸、乳製品の原料としても有望ヤギの毛は高級服飾素材としても珍重される。MLAによると、アンゴラ種のヤギから取れるモヘアの豪生産量は約197トン(06年)、生産高は250万豪ドル。豪州は世界第4位のモヘア生産国だが、大半を未加工のまま輸出しており、付加価値の高い紡糸作業をいかに国内に取り込むかが課題と言える。また、12〜18.5ミクロンと精細なカシミア種のヤギの毛は、軽量で、柔らかく、最高級ニットの原料となる。豪生産量は年間10〜12トンと世界的に見るとわずかだが、需要が世界供給を大きく上回っているため、MLAは豪カシミア産業が拡大する可能性は高いとしている。一方、ヤギの乳から作られる乳製品も将来性がある。特にチーズは、ニッチ市場の高級食材として料理店やデリカテッセンを中心に需要が拡大している。ヨーグルトや粉乳の生産はまだ限定的だが、ヤギ乳は健康飲料として一定の需要がある。■NSW州農業者連盟、ヤギ生産者会議開くニューサウスウェールズ(NSW)州農業者連盟(NSWFF)は17日、2年に一度のヤギ生産者会議を同州西部ダボで開催する。会議のテーマは「健康なヤギ、健全な利益」。成長しているヤギ産業の関係者を集めて業界を取り巻く問題について話し合い、今後の方向性を模索する。NSW州第一次産業省、MLA、生産者団体の代表者、ヤギ肉・毛の生産者らがスピーチを行い、全国家畜個体識別制度(NLIS)や国内・海外のマーケティング、モヘア業界の動向など様々なトピックについて議論する予定だ。

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