豪産牛肉、日本向けは堅調、不況でも需要安定、金額は拡大

 2008/09年度の豪産牛肉の日本向け輸出は、不況にもかかわらず堅調に推移しており、輸出高は円高豪ドル安を背景に大幅に増加した。不景気だからこそ日本の消費者が豪産牛肉の価値を認めた――と指摘する豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)に、豪産牛肉最大の輸出先である日本市場の現況と展望について聞いた。昨年9月のリーマンショックを機に世界的な金融危機が発生し、未曽有の不況に見舞われた今年度。その影響で急激に進行した円高豪ドル安は、豪農業輸出にとっては追い風となった一方で、日本は戦後最大規模の不況に見舞われている。年度初めからこれまで、豪産牛肉の需要は日本でどのように推移しているのか。統計によると、08年7月からこれまでの日本向け輸出量は、前年同期比で1%減にとどまった一方で、輸出高は17%増加した。MLAはNNA豪州農業ニュースの取材に対し、世界的な景気低迷は豪州の牛肉業界にも影響を及ぼしたものの、日本向けは「比較的安定した輸出需要を保つことができた」と指摘した。また、09年は日本の小売部門で円高還元セールなどを展開したことで、消費者が豪産牛肉の魅力を再認識する機会が増加し、消費にも好影響が表れている。農畜産業振興機構(ALIC)の小売POS(販売時点情報管理)のデータによると、豪州産牛肉の購入量は今年3〜5月にかけて前年同期比で約14%拡大した。MLAは「不景気だからこそ、豪産牛肉の『価格に見合った価値』が日本の消費者に受け入れられている」と分析している。今後については「節約志向がさらに進んでも、安全性と品質に対する関心が高い日本の消費者の需要は堅調に推移するだろう」と予想した。さらに、現在米国産牛肉の輸入条件を月齢20カ月以下としている輸入制限措置が近々撤廃されるとの観測が一部で浮上していることについては、米国産や国産との競争をあおるのではなく「豪産牛肉の特質を真摯に伝えることと、まずは日本の牛肉消費を回復させることが業界全体の課題だ」としている。MLAによると、米産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)問題が発生する以前は、日本の牛肉市場は豪州産と米国産、国産のシェアがおおむね3分の1ずつだった。BSE問題によって、豪州産のシェアは大幅に拡大したものの、日本の牛肉消費量は20%以上減少し、消費者の牛肉離れが進んだという。■栄養面の利点もPR戦略の柱に08/09年度の豪牛肉輸出高は46億豪ドル(ABARE)となる見通しで、牛肉は豪州農業最大の輸出商品。中でも日本市場は豪産牛肉の最大の輸出先であり、重要性は高い。日本の牛肉消費量に占めるシェアは44%(08年)に達しており、豪産牛肉は日本人の食生活にとっても欠かせない存在となっている。日本市場での販促活動でMLAは、従来の安全性に加えて、今後は栄養面でのメリットも強調していく戦略だ。「豪政府と牛肉業界が一体となって取り組んでいる品質保証制度とトレーサビリティー(生産履歴管理)といった安全性を引き続き訴えながら、今後は牛肉の栄養面についても訴求していく。牛肉には良質なタンパク質やビタミンB群、鉄分、亜鉛などが豊富に含まれていること、これらの栄養素を効率的に摂取できることを、メディアやイベントを通して発信し、牛肉全体の消費回復に貢献したい」としている。ウェブでこのほど実施した消費者向け販促活動「亜鉛を豊富に含むオージー・ビーフ」では、開始後2週間で約1万6,000件の応募があり、消費者の健康への関心の高さを改めて示したという。こうしたプロモーションやイベントを通して、MLAは豪州の生産者、貿易、日本の卸、小売、流通、小売、外食と、川上から川下までの業界全体と協力して需要拡大に努めている。こうした取り組みも、不況の影響を最小限に食い止めているもようだ。

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