豪ラム肉生産、順調に拡大、高値と輸出増加が追い風に

 豪州産ラム(生後12カ月以下で永久歯のない子羊)肉の生産が好調だ。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、今後も力強い輸出需要と高い出荷価格が継続し、生産者に追い風が吹くと予想した。ただ、飼育頭数が歴史的な低水準に落ち込んでいることから、付加価値の低いマトン(生後10カ月以上で永久歯が最低1本ある、成長した羊の肉)の輸出や生体輸出用の羊の供給に支障が出て、長期的にはラム肉の生産も減少しかねないと指摘している。MLAが13日に発表した年央の羊肉生産見通しによると、2009年のラム肉輸出量は前年比約6%増の約16万トン(船積み重量)に拡大、36%増の中東向けを筆頭に主な市場で前年実績を上回るという。国内消費量は約1.7%増の23万8,000トン(枝肉重量)となる。また、記録的な高値は今後も継続しそうだ。セールヤード(家畜市場)の全国平均出荷価格は7月、1キロ当たり3.2豪ドルまで高騰。MLAの羊肉アナリストであるジョーンズ氏は、「供給拡大や金融危機の影響よりも、需要の伸びが大きかった」と指摘した上で、世界的な需給の逼迫(ひっぱく)を背景に短・中期的には高値が続くと予想した。こうした追い風は当面吹くと見られ、4年後の13年の豪ラム肉生産量は08年比で16%増の48万2,000トンに拡大。高級ラム肉の増産、高値を背景とした羊毛用メリノ種の羊肉向け食肉解体の増加など、供給面での中期的な見通しも明るいとしている。しかし、羊毛の低迷などを背景に、羊肉の生産拡大とは逆に羊の飼育頭数は減少傾向が続いている。08/09年度は前年度比7%減の7,200万頭と、1916年以来の低い水準となった。ジョーンズ氏は、「頭数減少で、マトンや生体輸出の需要を満たせなくなる可能性がある。交配用の成長した雌羊の育成を怠れば、将来はラム肉生産も縮小する危険がある」と指摘した。マトンと生体の輸出は既に80年代の水準まで減少、今後数年以内に全飼育頭数はさらに約6,800万頭まで落ち込む見通しだ。ただ、高級ラム肉は、「不況や不安定な為替、干ばつ、飼育頭数の減少などの逆風にもかかわらず力強い。需要と生産者の利益の見通しは明るい。唯一の懸念は供給だ」としている。■対日輸出は過去10年で急拡大一方、豪産ラム肉の対日輸出量は年間9,877トン(08年)と過去10年間で約2倍に拡大した。マトンが7,085トンと3分の2に減少しているのとは対照的だ。MLAの日本市場担当アナリストである近藤氏によると、日本では数年前のジンギスカン・ブームで羊肉が見直され、仏・伊・中華などさまざまな料理でラム肉が多用されたり、スーパーマーケットの店頭でもラム肉を普通に見かけるようになるなど、ラム肉市場は飛躍的に成長したという。7月の輸出量は前年同月比15%増の663トン、1月〜7月の累計も前年同期比5%増の6,061トンと、直近の数字も堅調だ。近藤氏は最近の状況について、「08年後半、豪ドル安の間に商品を確保するか、または契約を結ぶ動きがかなり見られたようだ。ただ、09年第1四半期を過ぎたころまでには既にある程度の在庫が日本に確保されたため、その後は需要がやや弱まった。豪ドルと生体価格の上昇に加えて、日本経済の低迷も需要減速に加担した」と分析した。マトンも含めた日本の輸入羊肉市場で、豪州産は67%(08年)と圧倒的なシェアを占めている。2位はニュージーランド産でシェア32%にとどまる。競合をあえて挙げるなら豚肉や鶏肉だという。課題は、ラム肉の美味しい食べ方をいかに消費者に伝達するか。近藤氏は、「調理法が限られている、あるいは分からないと感じたり、独特の肉の香りが気になる消費者もまだ多い。こうした声を生かし、自宅で簡単に作れるレシピを紹介している。ラム肉が身近で多様性に富んだ食材であることを消費者・業界に訴求していきたい」と語る。日本で新市場を開拓する余地は残されていそうだ。

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