牛のバイオガス利用、商業化に課題

 乳牛の排泄物からメタンを取り出してバイオガスを生産する研究開発プログラムが、豪州で進められている。豪農業研究開発公社(RIRDC)はこのほど、実地試験が失敗した教訓を踏まえて商業化に向けた問題点を明らかにしている。RIRDCによると、家畜排泄物から出るバイオガスの商業利用を視野に入れた「豪農業メタン市場化」(AM2MA)プログラムは2007年にスタートした。湯沸かしや発電など農場のエネルギー需要を自前でまかない、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約20倍と非常に高いメタンの排出削減を目指している。約300頭の乳牛を飼育するビクトリア州のレスリー酪農場に排泄物の貯留池を建設、実地試験を行った。ところが、◇貯留池の大きさが十分ではないなどインフラの不備◇排泄物の硬化や堆積など技術的な障壁◇貯留池の改造に予算面の問題が生じたこと――などから実験は08年に中止となった。失敗の教訓からRIRDCは、◇排泄物の硬化や堆積を防ぐ技術の開発◇多様な貯留方式・装置の試行◇導入コスト低減による費用対効果の改善――を課題に挙げた。その上で「実験の失敗が農場でのメタン抽出の取り組みを後退させるものではない」として、試験導入の拡大を呼びかけている。全豪の酪農生産者の5%程度がシステムを導入しただけでも、初期投資と維持の費用は大幅に低減できるとしている。また、試算によると、800頭の乳牛を飼育する放牧形態の大規模農場にメタン抽出システムを導入して、約15%の排泄物を回収したと仮定した場合、1日当たり6〜25キロワットの電力と同750〜2,300メガジュールの熱量を同時に発生できる可能性があるという。

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