豪鶏肉需要、順調に拡大へ 1人当たり消費量は家畜トップ

 「オージービーフ」の本場・豪州では、実は国民1人当たりの鶏肉消費量が牛肉を上回っている――という興味深いデータがある。ヘルシーな動物性タンパク源として人気が上昇している格好で、地場で急成長した鶏肉の小売店やファストフード店のチェーンも出てきている。家畜肉全体の消費が減少傾向にある中で、鶏肉の需要だけが今後も拡大していく見通しだ。豪農業資源経済局(ABARE)によると、家畜肉の1人当たり消費量(解体後の胴体重量ベース)は、家禽肉(鶏肉が約96%を占める)が2000年代前半に牛肉を追い越してトップとなった。1965 年の鶏肉消費量はわずか6キロ(豪鶏肉連盟=ACMF)だったが、右肩上がりに拡大。2009 / 10 年度の家禽肉消費量は38キロ(ABARE)に達する。また、ABAREの予測によると、14/15年度の1人当たりの家禽肉消費量は09 / 10 年度比9.7%増の41.7 キロに拡大する。5年間で牛肉は33.9 キロから28.9 キロ、豚肉は26 キロから25.3 キロ、羊肉(マトンとラムの合計)は12.8キロから12.3キロと、いずれも減少していくのとは対照的だ。豪州の総人口が拡大しているにもかかわらず、ほかの家畜肉の消費が減少または横ばいの傾向にある一方で、鶏肉だけが順調に伸びている。背景には、鶏肉のヘルシーさが消費者に支持されていることがあるようだ。ACMFは、「鶏肉は100 グラム当たり28.6 グラムのタンパク質を含有しながら飽和脂肪が0.3 グラムと少なく、ビタミンやミネラルの含有量も豊富でバランスの取れた食事ができる」と健康増進効果をPRしている。「テリヤキチキン」も大人気こうした国内需要の伸びを背景に、鶏肉に特化した小売や外食の成功例も出ている。1987年にブリスベーンで創業した「レナーズ」は、鶏肉専門の小売店というニッチな業態が当たり、フランチャイズ化も奏功した。2009 年12 月時点で全豪にフランチャイズ148 店舗、直営40 店舗を展開。08 / 09 年度は1億4,500 万豪ドルを売り上げた。また、1986 年にシドニー東郊ボンダイビーチで移民のセルケイラ氏が1店舗で始めたポルトガル風鶏肉テイクアウト店「オポルト」も、ファストフードのフランチャイズ成功例の1つ。現在は年間平均15 店舗を新規開店するなど急成長、豪・ニュージーランドに110店舗を展開している。さらに、近年豪州で人気が拡大している日本料理店でも「テリヤキチキン」は看板メニューだ。毎晩行列ができるシドニー市内の回転すし店をのぞくと、客の大半が生魚の握りずしではなく、テリヤキチキンやアボカドなどを、シャリとのりを逆にして巻いたロールずしを手に取っている。外食業界の関係者によると、豪州人や中国系の客には、しょうゆと砂糖で甘辛くしたテリヤキソースと鶏肉の相性が好まれるという。とりわけ中国人の鶏肉好きは有名で、豪州の日本食人気拡大を後押ししている。なお、2009 / 10 年度の豪家禽肉生産量87 万3,000 トン(ABARE見通し)のうち、輸出は3万3,100トンと3.8%にとどまる。生産量は14 / 15 年度には103 万トンまで増加するとみられているが、輸出比率にほとんど変化はない。国連食糧農業機関(FAO)によると、07 年の鶏肉の世界生産量に占める輸出量の割合は12.3%と多くなく、豪州にとって鶏肉が有力な輸出商品となる可能性は低いが、今後も国内需要の成長は期待できそうだ。

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