豪産ラム、日本で販促強化 羊肉の日に合わせ需要喚起

 「オージー・ラム」(豪州産子羊肉)の市場拡大を強化する取り組みが日本市場で進行中だ。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は現在、4月29 日の「羊肉の日」にちなんだ販促活動を支援している。ウェブやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のツイッターによる広報、豪州旅行が当たる抽選、試食会などを通して、ゴールデン・ウィークの行楽シーズンに向け需要喚起を図る。語呂合わせで「4・29 =ヨウニク」と読ませる羊肉の日。北海道の羊肉卸・小売や外食、食品製造業者などが羊肉の普及拡大を目指すジンギスカン食普及拡大促進協議会(事務局・札幌市)が2004 年に制定、日本記念日協会に認定された。評議会を支援するMLAは、昨年から本格的に羊肉の日の販促活動に参画し、今年はMLA独自の活動として、販促の対象を需要の中心である北海道から全国に拡大した。まず4月15日にはオージー・ラムの公式ウェブサイトに専用ページを開設。3泊5日のパース旅行や豪産ラムの詰め合わせ、ジンギスカン鍋が当たる抽選を実施、ツイッター限定のプレゼント・キャンペーンも展開した。また、4月下旬には全国の流通チェーン約700 店舗で羊肉の日に合わせた販促活動を行い、プレゼント・キャンペーンを宣伝するステッカーを配布したほか、集中的に試食販売を実施した。北海道内の外食・小売店で食事券などが当たる評議会のキャンペーンにも協賛したほか、各地で雑誌とタイアップした料理教室や試食会、バーベキューの実演などを開催している。対日輸出は10年前から倍増MLAによると、豪州はマトン(成長した羊の肉)を含む日本の輸入羊肉市場で64%(09年)と圧倒的なシェアを誇る。2位は輸入シェア35%のニュージーランド。日本の羊肉自給率は1%に満たないとされるため、これら2国が市場のほぼ全量を寡占していることになる。豪産ラムの輸出先としては、日本は金額で世界4位、数量で世界6位(いずれも09 年)となっている。ただ、直近の数字を見ると、豪産ラムの日本向け輸出は伸び悩んでいるのが現状だ。09 年の対日輸出額は6,090万豪ドルと前年比0.4%の微減にとどまったものの、輸出量は8,336 トンと同16%減少した。MLA東京事務所の広報担当・久々江(くぐえ)氏は「豪ドル高に加え、不況を背景とした内食ブームが響いた」と話す。年間輸出量は1万トン以上の過去最高水準まで急増した05 〜 06 年以降、ほぼ8,000 〜1万トンの間を行き来している。しかしながら、過去15年間の豪産ラムの対日輸出量の推移を見ると、年間4,000 〜 5,000 トンだった90 年代後半と比較してほぼ倍増した。04 〜 05 年ごろに日本で起こったジンギスカン・ブームを背景に、需要が北海道から全国に広がりを見せたことが追い風となったようだ。久々江氏は「まだまだ羊肉の調理の仕方が分からないという一般消費者が多い」と指摘する。このため、牛や豚、鶏と同じ感覚で、しょうが焼きやカレーといった「普通の調理法」(同氏)を提案している。ラムといえば外食のジンギスカンの食材というイメージが強いが、内食需要の拡大を逆手に取って、特別な食材ととらえるのではなく、日本人が一般的に家庭で食べている定番メニューへの利用を促す戦略だ。また、ラムの健康増進効果と美味しさも訴求していく。同氏は「体脂肪の燃焼効果が高いとされるアミノ酸のカルチニンが多く含まれているほか、赤身肉は栄養分も豊富だ」と強調する。日本で羊肉といえば、マトン特有のにおいや食感の硬さを思い浮かべる人がまだ多いという。しかし、豪州では従来、羊毛を刈り取った後の副産物だった羊肉が、現在では、生産者の努力によって食材専用に品種改良され、冷蔵技術と流通の進歩によって、品質が向上した。同氏は「ラムの美味しい食べ方を業界全体で提案している。これを機に美味しくヘルシーなラム肉をもっと食べてもらえれば」と期待する。日本で「第4の食肉」として注目されるようになった羊肉。それでも日本の1人当たり消費量はまだ200 グラム以下(MLA推計)に過ぎず、同6キロ以下の牛肉、魚介類の約32キロと比較して大差がある。それだけに、逆に需要の「伸びしろ」は大きい。日本の業界と豪州の生産者が手を結ぶ需要喚起策が奏功すれば、将来、豪産食品対日輸出の主力商品に成長する可能性があるといえる。

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