「フリーレンジ卵」基準を法制化、1ヘクタール当たり1,500羽に

鶏が野外を自由に歩き回れる形態での養鶏手法「フリーレンジ」の基準をめぐり、ニューサウスウェールズ(NSW)州で議論が過熱している。フリーレンジは厳密な基準がないため、鶏卵農家がフリーレンジの名で卵を販売しているケースが問題化している。州上院議会では飼育環境の改善のために1ヘクタール当たりの養鶏数を制限する法案が可決。一方で、鶏卵団体からは規制を緩和しようとする動きも出始めた。養鶏関係者にとっては、定義によって飼育コスト増が強いられるほか、売り上げにもかかわってくるだけに、ロビー活動に余念がないようだ。【NNA豪州編集部】

NSW州の上院議会では先月、同州で「フリーレンジ」として飼育される鶏の数を1ヘクタール当たり1,500 羽とする基準を定めた法案が可決された。環境政党グリーンズ(緑の党)は当初、同750 羽が適当と主張していた。

養鶏数が変更になった経緯について、グリーンズのケイ議員事務所はNNA豪州に対し、「鶏肉・鶏卵フリーレンジ協会
(FREPA)と協議し、ストレスのかからない飼育数として同750 羽が適当ということになった。ただ議会では労働党から改正を求められ、養鶏農家や関係者との話し合いの末、法案では同1,500 羽になった」と語った。

今後はNSW州の下院議会で審議されることになる。ケイ議員事務所は、「下院にはグリーンズの議員が一人しかいないが、彼が来年2月以降の議会で同法案を提出する予定」としている。そのため下院で可決されるのは来年2月以降となる。一部のフリーレンジ支持者は法案を通過させるためにロビー活動を行っている。

法案が可決されれば、ケージ飼いや養鶏数の多い養鶏農家は今後、フリーレンジとして卵販売を行うことができなくなる上、規則違反には罰則も与えられるようになる。現在、フリーレンジに規則はなく、同1,500 羽の養鶏は自主基準となっている。またNSW州のホッジキンソン第一次産業相は、12月に開催される国家食料規制閣僚会議で、フリーレンジの定義などについて他州の閣僚と議論を行うとしている。これについて、養卵農家で構成されている豪州鶏卵連盟(AEC)は、NSW州だけで独自に規則を制定するのは無意味とし、国家への働き掛けを歓迎している。

■「1ha当たり2万羽に」

ただ、AECは1ヘクタール当たり2万羽の養鶏を認めるよう求めている。AECは消費者と生産者が参加したリサーチ・フォーラムを通じ、1ヘクタール当たり2万羽の場合でも、空間が確保され、鶏が動き回ることができることを確認したとしている。シドニーでの調査や国内の生産者ミーティングのほかに、今月にはメルボルンでも消費者からフィードバックを得る機会を設けるようだ。

一方、ビクトリア州でフリーレンジで養鶏を行うウエストウッド氏は、農場の持続性と不公平な競争について、AECの生産者ミーティングできちんと議論されていないと指摘。「ストック数を格段に増やすことは卵価格の低下につながり、その余派が生産者に影響を与える」と懸念を示している。

■フリーレンジ卵販売は良好

8月のフリーレンジ卵の販売量は約360 万ダース以上で、7月より約10万ダース増加した。4年前と比べて倍増している。昨年の年間販売量は、2006年の1,940万ダースから3,480万ダースに増加した。スーパーマーケットでは1ダース平均5.2豪ドル(約420円)で販売されており、ケージ飼いの卵(同平均3.12 豪ドル)より約2豪ドルほど高くなっている。ただ1ヘクタール当たり1,500 羽以下で飼育している鶏の卵は同8〜12 豪ドルで販売されているのが現状だ。AECのケラウェイ最高責任者は、農場やファーマーズ・マーケットなどを通じて販売される卵が、全体のフリーレンジ卵販売量を幾分か押し上げたと指摘。ただ大半が同1,500羽以上を飼育する大規模農場から出荷され、小売大手のコールズとウールワースで「フリーレンジ」として販売されているようだ。

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