インドネシアが割当量を半減、豪州からの生体牛輸入

インドネシア政府はこのほど、来年の豪州からの生体牛輸入割当量を今年の52万頭から28万3,000頭に削減する方針を明らかにした。
インドネシアは2014年までに牛肉供給の完全自給化を目指しているためだ。今年6月の生体牛の一時輸出禁止で打撃を受けた豪州の畜産業者にとっては、新たな壁が立ちはだかった形。収束したかに見えた生体牛処理問題は、インドネシア側にしこりを残したと見えて、豪州の畜産業者や農家には驚きの声が広がっている。【NNA豪州編集部】

インドネシア政府は、生体牛の輸入割当量を削減するほか、世界全体の加工牛肉の輸入割当量を3万4,000トンに削減する方針だ。17日付ジャカルタ・ポストによると、インドネシア農業省のシュクル家畜衛生局長は、インドネシア国内で約1,470万頭の生体牛を確保しているため、来年の輸入割当を大幅に減らすことができると説明している。

割当量が約半減することになる豪州では、生体牛の大半を同国へ輸出している北部の畜産業者を中心に、新たな市場を開拓する必要が出てきた。選択肢としては、◆ほかのアジアや中東地域への供給◆豪州南部への供給◆成長するまで飼育し、加工業者に販売――がある。ただ、アジアや中東は市場規模がまだ小さく、インドネシアよりも価格が安い上、すべての種が受け入れられる訳ではない。また距離が遠い豪州南部への供給は輸送コストが高いことがネックとなっている。成長するまで飼育することも栄養価の低い牧草で飼育している農家にとっては大きな課題となりそうだ。

豪ラドウィッグ農相は、インドネシア政府の決定は完全自給を達成するためで、豪州による生体牛の一時輸出禁止に対応したものではないと説明している。同農相によると、豪州からの牛肉輸出はベトナムやトルコ、エジプトなどで増加している。

■QLD州、輸出頭数40%減も

今年6月頃のインドネシア向け生体牛輸出の一時禁止で打撃を受けた豪州の畜産業者や畜産農家は、今回の決定に驚きを隠せないでいる。生産者団体アグフォース・キャトルのモーズリー代表は、「クイーンズランド(QLD)州がインドネシア向け生体牛の20%(約10万頭)を担っており、インドネシアが削減を行えば、輸出量が40%削減されることになる」と指摘。また加工業者JBSスイフトのベリー・マネジャーは、牛肉業界全体にとって思わしくない結果とし、加工業者にとっても現実的な問題としている。

豪州肉牛生産者協議会(CCA)のイナル最高責任者は、「豪州の畜産業界は政府と一緒に、インドネシア当局と対話を続けていくべき」と主張している。

ただ、豪州の畜産業者の間では、インドネシアが牛肉を完全自給するのは困難との見方もある。アグフォースの同代表は、輸入割当量を決める際、消費量1人当たり1.8キロとして計算しているものの、業界の情報では同2.5キロに近づいてきているとの指摘がある。需要が増加し、国内だけではまかなえないとする見方を示すことで、インドネシア政府が輸入割当量の見直しを行う圧力になるとしている。

またアグリビジネス大手エルダーズはこのほど、インドネシアでの事業の行き先が不透明になったとして、ほかの輸出先を模索していることを明らかにした。ロシアやカザフスタン、パキンスタン、カタールなどで事業の機会があるとしている。

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