日本が豪州産家禽類の輸入停止、鳥インフル発見で

日本の農林水産省が、メルボルン北部の農場2カ所で低病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)が発見されたことを受け、豪州から家禽(かきん)などの輸入を停止した。日本国内の家禽へのウイルス感染防止が目的。だが、豪州国内では人への健康被害を懸念して輸入停止に踏み切ったとして、過剰反応との批判が出ている。

日本の農水省は1月27日、豪州当局からの情報提供を受け、豪州全体からの家禽類とその肉、卵、加工製品などの輸入を即日停止。豪州全体から輸入を停止したのは、日本が初めて。このほか、シンガポールとベトナム、インドネシア、香港もビクトリア州産に限り輸入を停止。南アフリカも隔離地から20キロメートル以内の農場から輸入された家禽類でないとする証明書の提示を義務付けた。

農水省の担当者はNNA豪州に対し、「目的は日本で飼育されている家禽が鳥インフルエンザに感染するのを防ぐためで、食品安全上ではない。検査を行い、鳥インフルエンザがないと正常性が確認されれば、輸入を再開する予定。米国で発生した際は、州ごとに停止措置を取り、数カ月単位で解除された。そのため、豪州の場合も同じようになるのではないか」とコメントした。

日本の家禽類(加工品を含む)の輸入はブラジルや米国、中国、タイなどからだ。中国やタイでは鳥インフルエンザが発生しているものの、農水省指定の加熱処理場での処理を行えば、輸入が可能となっている。豪州からの家禽肉の2010年の輸入量は1.2トン、鶏卵は0.7トンで、輸入全体に占める割合は非常に少ないという。

■豪州産食品では30年ぶり

一方、豪州内では波紋が広がっている。豪州産の食品が「害虫リスク」などではなく、「人体の健康に悪影響が出る」として禁輸対象にされたのは30年ぶりだからだ。1日付の全国紙オーストラリアンでは、「30年ぶりに人の健康を保護するために輸入停止が行われた」と批判的に報じている。前回の輸入停止は米国が1981年に一時的に一部の牛肉輸入を停止したことだという。当時はカンガルー肉が代用されていると報道されており、牛肉が汚染され、食べるのに安全ではないと懸念されていたという。

豪全国農業者連盟(NFF)は1月31日、日本政府の対応について過剰反応と批判。NFFは、今回の鳥インフルエンザが根絶された後、豪州政府は日本が早期輸入再開するよう働きかける必要があるとしている。

NFFのマケルホーン貿易担当は、アジアで発生している毒性が強いH5N1型の鳥インフルエンザウイルスに非常に敏感になっているため、日本が軽率に輸入停止措置を行ったのではないかと指摘。今回発見されたウイルスは傷害をもたらすような毒性が強いものではないとしている。また、「われわれの理解では、今回の発見が食品衛生に関わることはなく、家禽の肉や卵はすべて安全だ。他国はすべての情報や事実を吟味した上で、判断を下してほしい」とコメントしている。

■アイスクリーム産業にも波及?

豪州の家禽類生産量のうち輸出に充てられるのは4~5%のみで、輸出の半分は香港向けという。そのため国内産業の打撃は少ないとみられる。ただし、卵が含まれるアイスクリームなどの関連食品への2次被害が懸念されている。

鳥インフルエンザは、メルボルン北のミックルハムとギズバーンにあるゴールデン・ダック・ファームスが運営するフリーレンジ(野外を自由に歩き回れる形態での飼育手法)のアヒル農場2カ所で発見された。その後、鳥インフルエンザの拡大を防ぐために、当局は2万5,000羽を処分している。鳥インフルエンザは、野生の水鳥によってもたらされたもよう。

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