インドの牛肉輸出攻勢、豪の脅威に 日本市場では米国産増加へ

インドが牛肉生産量だけでなく輸出量も増やす傾向にあるようだ。この傾向が強まれば、輸出市場の19%を占める豪州のライバルとなりそうだ。特に牛肉需要が高い東南アジアを巡っては、豪州との競争が過熱する見通しだ。加工コストが高く、加工業者の収益が圧迫されている豪州は、世界市場で強固な他国と競争し続けていくことができるのか注目される。最大の輸出先である日本市場では、米国産流入の増加で苦戦を強いられそうだ。【ウェルス編集部】

牛肉輸出市場では、カナダとブラジル、米国、ニュージーランドに加え、インドが新たな豪州の競合国として浮上し始めている。豪紙ランドによると、インドの現在の牛頭数は2000年に比べて21%増加し、6,300万頭に達している。世界の牛肉生産量の5%を占め、輸出市場では9%を占める。一方、豪州の牛頭数は2,600万頭数だ。

インドは今後5年間で輸出量を伸ばし、地理的に近い東南アジア諸国と中国への輸出を拡大する見通しだ。東南アジア諸国では今後3年で人口が3,200万人増加するほか、中国では2,800万人増加すると見込まれており、牛肉需要も人口増加に伴い高まると予想されている。

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)のハンセン社長は、インドが今後5年で牛肉生産量を10%増加させ、南アジアから中央アジアの需要を満たし、さらにほかの地域へ供給するだけの容量を持つようになると予測している。また中東とアフリカ、ロシア市場で基盤を築いているブラジルとの競争が激化するほか、エジプトやサウジアラビア、イラン、トルコは国内の牛肉生産量を増加させると見込まれている。

■加工コスト高に直面

他国との競争に加え、豪州国内では、牛肉の加工コスト上昇で食肉加工業者の利益が圧迫されており、世界の牛肉需要増加に対応できない可能性もある。ブラジル食肉加工最大手JBS子会社のJBSオーストラリア(豪JBS)のマーズ最高経営責任者(CEO)は、導入が予定されている炭素税などによる加工コストの高まりを懸念している。そのほか、エネルギー費用と輸送費の増加により、加工工場の修繕や改良への投資ができなくなるとしている。

タスマニア州からクイーンズランド州北部にかけて11カ所の加工工場を持つ豪JBSは、穀物肥育牛1頭の解体に豪州では300豪ドル(約2万5,000円)がかかる一方、米国では150米ドル(約1万2,000円)としている。また牧草飼育牛の解体は、ブラジルでは120米ドルだが、豪州では270豪ドルがかかるという。

また同CEOは、最近では即在の3大市場である日本と韓国、米国以外でも牛肉輸出で地位を築きつつあるとしながらも、豪州の牛肉産業は決められた一部市場への出荷や、と殺体1頭丸ごとの出荷などに頼ってはならないと指摘している。

■日本向けの冷蔵牛肉輸出は減少か

米国産牛肉の輸出拡大が懸念されている日本市場では、今年の豪州産牛肉輸出は5年連続の減少で、33万トンまで落ち込むと予測されている。昨年の冷蔵された穀物肥育牛肉の輸出量は、前年度比12%減の4万5,558トンに減少している。

丸紅の豪牛肉生産子会社レンジャーズ・バレーのマッカイ最高経営責任者(CEO)は、日本市場自体が伸び悩んでおり、豪州は輸出量を維持できつつも、消費者が求める価格帯に変化がみられるかもしれないと指摘している。豪州にとっては、米国産牛肉の拡大のほか、豪ドル高もネックとなっている。同CEOは、日豪の自由貿易協定(FTA)が近く締結され、豪州にも優位な状況が訪れると予測している。

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