実業家がAACoに出資、外資の農地買収に危機感
- 2012/7/19
- 畜産
実業家のディック・スミス氏はこのほど、畜産大手オーストラリアン・アグリカルチュラル・カンパニー(AACo)の株式を100万豪ドル(約8,000万円)相当取得した。同氏は外資による農地買収が進んでいることに懸念を示しており、AACoへの出資もこの問題に対する危機感の表れという。16日付オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)が伝えた。
スミス氏は家電販売チェーン大手ディック・スミスの創業者で、かつて国産品のみを扱う食品会社ディック・スミス・フーズを経営していたこともある。
同氏はAFRに対し、「外資が良質な農地をすべて買収してしまうことを懸念している」と述べた上で、「農地の一部を所有することでこの問題に発言できると考えた」とAACoの株式取得の理由を説明している。
同氏は、AACoについて多くは知らないとし、「単に土地を所有したかった」と述べ、アドバイザーの反対を押し切る形で出資を決めたことを明らかにした。
AACoは豪州2位の土地所有者で、所有する農地は約700万ヘクタールに上る。同社の株式の60%以上は、英国の富豪ジョー・ルイス氏や米ファンドマネジャー、ドバイの食品会社IFFCOとマレーシアの農園運営フェルダの合弁事業など、外国資本が保有。AACoのファーリー最高経営責任者(CEO)は、農業分野への外資誘致の推進者として知られている。
中国資本をはじめとする外資による農地買収問題は、上院委員会の調査によって注目を浴びた。国民党のジョイス上院議員や自由党のヘファナン上院議員らは、外資による農地の所有の透明性を高めるよう要求している。
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