豪州が和牛認証を強化へ 純血種も交雑種も「Wagyu」

豪州では「Wagyu」の表示規制がないため、交雑種の50%和牛も「Wagyu」として販売する業者が増えてきている。和牛牛肉は高値で販売できるため、交雑種も純血種と区別なく「Wagyu」とされているのが現状だ。これを受け、豪州では「Wagyu」の表示認証を強化する動きが出ている。消費者が一歩踏み込んだ「Wagyu」の情報を知ることができるようになるかどうかの正念場を迎えている。【ウェルス編集部】

豪州で「Wagyu」と呼ばれる牛の9割以上が交雑種だ。アンガス種やホルスタイン種との交雑種は、脂肪含有度を示す指標の「マーブリング」が非常に低くなる。ただ、一部のレストランや肉屋ではこうした交雑種の牛肉が純血種「フルブラッド」として販売されている状況だ。
エイジによると、豪州和牛協会(AWA)のトラスコット代表はこのほど、新たな認証システムを向こう12カ月以内に導入すると明らかにした。現在AWAは共同で遺伝子研究事業を行っており、遺伝子検査が来年5月くらいから開始できる見通しのようだ。DNAから和牛遺伝子の含有率やマーブリング度合いを知ることができるようになるという。
同代表はウェルス編集部の取材に対し、「第3者認証を行うかどうかについて協議している段階で、まだ決まっていない。消費者向けのラベル表示もまず市場に聞いてみたい」とのみ明かした。偽装の現状については、「サプライチェーンの問題だ」としている。

「AWAとMLAは連携を」

シドニー近郊のブルーマウンテンで和牛生産を手掛けるベルツリー・オーストラリアの鈴木崇雄代表取締役は、「“偽装”は言い過ぎだと思うが、“Wagyu”表示に“100%”などの表示がないのが現状。繁殖牛などで血統登録はあるが、食肉用の肥育牛に血統登録をしているかどうかは生産者による。登録にはコストがかかるため、コストを吸収できる仕組みができるかどうかが鍵だろう」と語る。
同代表取締役によると、現状では生産者や販売業者が自主的な表示を行うにとどまっている。認証の強化をすべきかどうかについては、「まず格付けありきで、交雑種と純血種でマーブリングが同じなら純血種を高く評価すべき。ただ、認証強化は投票で決まるため反対が多数だろう」としている。豪州産和牛をマーケットに乗せるという必要性はあるが、消費者の認識がもっと高まれば認証を強化する意義が強まるとの見方だ。

また同代表取締役は「認証についてはAWAがイニシアチブを取るべき。ただ、AWAは登録業務だけはするがマーケティングはしないスタンスのため、AWAと豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が一緒になって行うのが好ましい」とコメントした。
豪州で数少ない純血種和牛を生産しているデイビッド・ブラックモア氏は、これまでに国内外の業者4社が牛肉を「ブラックモア和牛」と偽装して販売したことがあると指摘。このうちニューサウスウェールズ州のと殺場からは低品質の牛肉がブラックモア氏の偽装ラベルを貼って香港のスーパーに輸出されたケースもあるようだ。ブラックモア氏は、4万7,000人以上の畜産農家を代表するMLAが中心的な役割を担い、和牛の品格を保護するべきと主張している。

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