第35回 a2ミルク・カンパニーって何?

人気急上昇中のa2ミルクの乳児用粉ミルク

ニュージーランド(NZ)発の乳業大手a2ミルクカンパニー(a2ミルク)は、牛乳のタンパク質の種類によって、飲んだ消費者が異なる症状を示すことに着目して、胃腸にやさしい牛乳を自然な製法によって製造しています。同社の製品は牛乳が苦手な体質を持つ人口が多いアジアを中心に近年人気が急上昇しています。【松本菜美】

a2ミルクはNZで、牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)のA1とA2のうち、消化器系の不調を起こし腹痛の原因となりやすいA1が入った牛乳を出さない乳牛の選別方法を開発した、コーラン・マクラクラン博士によって2000年に創業されました。a2ミルクが採用している乳牛の選別法では、家畜を傷つけることなく、尾の毛を一部採取して遺伝情報を解析するそうです。

a2ミルクは、A2のみを出すと確認された乳牛のみを集めて搾乳と繁殖を実施することで、製品の品質を維持しています。同社はA1牛乳とA2牛乳の健康への影響の違いを調べる研究を積極的にサポートしており、今後も引き続き力を入れていくとしています。ただ、a2ミルクの競合各社はA2の健康効果は科学的な根拠に乏しいと批判しています。

■NZと豪の2カ国で株式上場

a2ミルクは2004年にニュージーランド証券取引所(NZX)に、15年にオーストラリア証券取引所(ASX)に上場しました。

同社は、創業当初からオーストラリアやNZ、米国を中心にA2牛乳の特許取得に注力してきたことに加え、近年世界的に高まっている健康志向が追い風となったことで、過去10年ほどで急成長を遂げています。今年5月末時点での市場価格は94億3,000万NZドル(約7,150億円)と、NZで最大級の企業となっています。

■舞台は中国、米国、英国へ

a2ミルクはオーストラリアとNZにとどまらず事業を拡大しており、近年は特に中国で爆発的な人気を集めています。中国系の購入代行業者によるa2ミルク製幼児用粉ミルクの買い占めが社会問題となり、スーパー各店は商品をたばこなどと一緒にカウンター奥に配置して1人当たりの購入数を制限するなどの対策を講じているほどです。

米国や英国では、中国ほど人気は過熱していないものの、米国では販売店数を昨年6月時点の3,600店から今年1月までに5,000店へと、英国では同時期に1,600店から2,000店へと伸ばしました。

a2ミルクの昨年度通期(16年7月~17年6月)の純利益は9,060万NZドルと、前年同期比で198%増加しました。

同期間の海外事業ごとの売上高は、米国と英国を合わせて2,100万NZドル(前期比15%増)、中国を中心としたアジア市場で8,890万NZドル(同133%増)、オーストラリアとNZが4億4,000万NZドル(同48%増)となっています。

a2ミルクは創業当時は新鮮なA2牛乳に特化して販売活動を行っていましたが、徐々に製品の幅を広げ、乳幼児用粉ミルクなど複雑な栄養食品を手がけるようになりました。今年2月には、NZの乳業最大手フォンテラとの協同を開始し、フォンテラがオーストラリアとNZやそのほかの海外市場に持っている巨大な販売ネットワークを通して、東南アジアと中東でのシェア拡大に着手しました。

乳製品の需要は経済発展が急速に進んでいる地域を中心に、近年大きく伸びています。世界全体で食事の西洋化が進んでいることと、経済発展に伴って所得が上昇した消費者から、タンパク質に対する需要が伸びたことなどが背景にあります。a2ミルクは世界各地に成長の余地を残しているようです。

【a2ミルクカンパニー】

本拠:オークランド

主要人物:ジェフ・バビッジCEO

主要事業:乳製品の製造と販売

売上高:5億5,000万NZドル(2017年度通期)

純利益:90.6万NZドル(同)

従業員数:111人

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