第36回 リンゼー・オーストラリアって何?

オーストラリアは世界でも有数の青果生産国です。国内の供給だけでなく、輸出もさかんなため、主要な物流拠点への運輸サービスは非常に重要な役割を担っています。今回は国内東海岸地域を中心に約70年の歴史をもつ運輸老舗、リンゼー・オーストラリアを紹介します。【石渡由香利】

リンゼーは1953年、トム・リンゼー氏とピーター・リンゼー氏の兄弟が、父親から買い取った中古トラック3台を元に創業されました。同社は創業当時、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部で生産された青果を、シドニー・マーケットに向かう鉄道が発車するコフス・ハーバーの駅に運搬する事業を主に手がけていました。

リンゼーはやがて、青果だけでなく、木材をシドニーにまで運搬するようになり、シドニーからの復路にニューカッスルに立ち寄り、燃料を持ち帰りコフス・ハーバーに届けるという事業も行うようになりました。

同社の2017/18年度の純利益は、前年度比で25%増と堅調。事業戦略は数年間一貫しており、季節変動に対応するための多様な地域への新規投資や、安全性向上のための設備の見直し、新技術の導入が最大の注力分野となっています。

リンゼーの強みは、農業と物流の2部門の融合にあります。リンゼーは1983年、現在の「リンゼー・ルーラル」の先駆けとなる「P&Hルーラル」を立ち上げ、農業関連ビジネスに進出。包括的なポートフォリオを持つことで、作物栽培や肥料、農薬に対するアドバイスから、梱包、輸送、消毒まで、生産サイクルの全体を通じたソリューションを提供することができるようになり、農家に寄り添ったサービスを実現しています。

■冷蔵輸送のパイオニア

リンゼーは国内で初めて、青果の輸送に冷蔵トレーラーを導入しました。同社は1970年代までに手持ちの車両をトラック20台、トレーラー23台にまで充実させ、事業エリアをクイーンズランド(QLD)州にまで拡大し、冷蔵輸送事業大手へと成長を遂げました。

リンゼーは順調に事業を広げ、2001年にはオーストラリア証券取引所(ASX)に上場を果たしました。14年には新事業「リンゼー・フレッシュ・ロジスティックス」を立ち上げ、QLD州のブリスベン・マーケットを中心に、荷揚げやクロスドッキング、保管、熟成、くん蒸など、国内輸送と輸出に関わるサービスを多岐にわたって手がけるようになりました。

同社のネットワークは、現在までに国内東海岸を中心に、約40カ所の店舗とデポを展開するまでに拡大しています。

■テクノロジーに押され気味?

物流業界と農業界では近年ブロックチェーンなど最新のテクノロジーを導入して、産地からサプライチェーンにおけるトレーサビリティーの向上に励む企業が増加しています。

オーストラリアの鉄道貨物輸送会社パシフィック・ナショナルやパトリックなど、リンゼーの競合各社が今年、コモンウェルス銀行が開発したブロックチェーン技術を採用するなど、業務の効率化をめぐる競争が激化しており、リンゼーに対するテクノロジー採用の圧力が高まっています。

同社は物流業務においてはくん蒸処理に使用したガスを回収する技術「ノルディコ(Nordiko)」を活用して環境に配慮した事業を行ってきており、今後も環境だけでなく、多面的にテクノロジーを取り入れて競争を勝ち抜いていく姿勢を見せています。

リンゼーの顧客は、オーストラリアの有名ブランドを含む食品加工、食品サービス、農業部門など多岐にわたります。今や全国19カ所の支店、16カ所のターミナル、そして1,000を超える運搬車両を保有しており、今後も信頼の高いサービスでオーストラリアの青果運輸を支えていくことが期待されています。

【リンゼー・オーストラリア】

本拠:アカシア・リッジ(QLD州)

主要人物:リンゼー最高経営責任者(CEO)

主要事業:農産物などの輸送

売上高:3億6,488万豪ドル(2018年度通期)

純利益:806万豪ドル(同)

従業員数:1,100人

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