新連載第1回 栽培作物の環境条件について

渡豪前、日本での農業業界の3K「キツい・汚い・危険」の生産現場を何度も目の当たりにし、日本の今後の農業に不安を抱いておりました。そこで、何とかしてこのネガティブな3Kの印象を払拭できないかと考え、日本の農業を活性化させるためのヒント探しのために、2011年に渡豪を決意しました。

ここでは、私がオーストラリアで5年超(日本で約5年)に渡り培った農業ビジネスの経験を基に、現場レベルから考える、同国でどのように農業ビジネスを展開すべきか皆様にご紹介できたらと思っております。

オーストラリアの農業ビジネスは、世界的な食料需要の増加、特に今後ますます増えるアジア圏の中間層の需要を確保するためにも、安定して経済成長するための対策が多く掲げられています。また、年間を通じて水や農地の利用に制約があり、気候をはじめとする変動要因が存在するため、今後の農作物生産の増加は、生産性の向上にかかっています。オーストラリアで、生産性の十分な農業ビジネス(農作物の栽培)を始めるには、栽培条件をクリアした上で、カギとなる人材の育成を強化する必要があります。

まず、土地(土壌)、気候、病害虫の情報を参考に、計画の実現性を検証していくことが重要です。農業大国であるオーストラリアは日本に比べ、政府が提供する多くの栽培環境の情報を入手することができます。事前に情報収集した上で、実際に現地に赴き、現地の農業専門家と共に実際の状況を現場レベルで確認していきます。

オーストラリアでは、日本で栽培されている葉物、根菜等、ほぼ全ての作物を同様のサイクルで栽培することができます。

特に日本と同様に四季のあるTAS州、VIC州では、季節性の高い作物(露地、施設の両作物)を育てることが容易にできます。

まず、栽培する品目を選定するには、栽培する場所を決め、その環境条件を理解、考慮する必要があります。

土地(土壌)、気候条件、病害虫のコントロールの三点のうち、今回は土地(土壌)についてご紹介します。

1、土地(土壌)についての理解

もともとオーストラリアの土壌は古く、酸性の傾向が強い特徴があります。農用地では、作物がアルカリ系物質を養分として吸収し、更に窒素が肥料として投入されることで土壌の酸性化が進行しています。酸性化が進むと、作物の収穫量が減少するため、土壌診断を事前に行う必要があります。

また、露地野菜、特に根菜類を育てる場合は、オーストラリア環境省のサイトを活用し、粘土土壌(Dermosols, Vertosols)や岩石(Rock)が多い土壌でないことを事前に調査しなければなりません。(続く)

土壌の状態を確認する 【参考情報】 Australia State of the Environment MAP:https://soe.environment.gov.au/

今林丈二

投稿者プロフィール

豪州在住の農業ビジネスコンサルタント。
日本で農学を学び、農業ビジネスに携わった後、農業・環境保全の調査、勉強目的で2011 年に渡豪。留学中、三菱ケミカルとVIC州政府が共同運営する「植物工場野菜栽培プロジェクト」に出会い同事業に3年間従事。
2017 年よりMECRUS が運営する「日本いちご栽培プロジェクト」に参画中。農業コンサルティング会社イノプレックスの研究員としても活動中。
メールアドレス:imabayashi@innoplex.org

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