第39回 ゼスプリって何?

ニュージーランド(NZ)は世界でも有数の果物の生産国ですが、人口が495万人とマーケットが小さく、輸出も盛んに行われています。NZから最も多く輸出され、同国を代表する果物と言えば、キウイフルーツ。今回はNZの輸出キウイを独占的に取り扱う企業、ゼスプリを取り上げます。【湖城修一】

ゼスプリは1988年に政府系団体(農業公社)として設立され、その後99年に民営化しました。NZの農産物の大手輸出企業の特徴は、農業公社が輸出を独占したまま民営化したというところにあります。ゼスプリの他、酪農のフォンテラ、リンゴのエンザなどがそれにあたります。

実際には、NZ政府は農業公社の独占に対する批判が高まった98年に、キウイの輸出自由化の方針を打ち出したことがあります。しかし翌年、自由化の行き過ぎによる経済格差拡大への不満を背景に政権が交代、急速な民営化/自由化路線が修正されることになりました。キウイについては業界再編法が制定され、公社はゼスプリとして生産者を株主とする民間企業になりましたが、引き続き暫定的な輸出独占が認められました。その後もゼスプリの業績を監督する立場の生産者団体キウイフルーツ・グロワーズが、生産者の利益につながるとして、ゼスプリの輸出独占を強く支持するという構造になっています。

■独自の戦略で業績を支える

同社は2018/19年度(18年4月~19年3月)決算で、売上高が31億NZドル(約2,117億円)に達しました。前年度比26%の増加で、売上高が30億NZドルを突破するのは初めてです。

同社の好業績を支える戦略の特徴は、高い品質の作物を一定して生産する管理体制と、輸出相手国に応じたプロモーションと価格コントロール、世界中で生産することによる切れ目のない供給体制の確立にあると言われています。

具体的には、同社は商標、育成権をNZ本社で一括管理するほか、生産者に栽培・育成マニュアルを提供する一方で、厳しい品質管理基準を課し、品質を一定化しています。同時に糖度や、硬度、色、保存性などに対して高い目標値を設定、達成した生産者にインセンティブを支払うことで高品質品の生産促進を図っています。

また、独占的に輸出する立場にあるため、販売価格を戦略的に決定し、単価と数量のバランスをコントロールし収益の最適化を図ることができます。輸入代理店を各国に1~数社に絞り込むことによって不要な競争を回避するほか、スーパーマーケット等の小売店とも直接販売交渉行い、需要を創出することも特徴と言えるでしょう。

さらに、日本やイタリア、米国の生産者と組み、グローバルな産地リレーを展開、同一品質の商品を市場に切れ目なく供給しています。

■グローバルな組織

組織体制は、ゼスプリ・グループを中核の持ち株会社とし、その傘下にNZ産キウイフルーツを扱うゼスプリ・インターナショナルを置いています。世界各国にマーケティング拠点と生産管理を行うゼスプリ・フレッシュ・プロデュースを設置、計34社体制で、世界の総流通量の3割を押さえ、50カ国以上に商品を供給しています。

研究開発も盛んで、同社の主力商品に育ったサンゴールドキウイは、政府機関プラント&フードリサーチ(PFR)との共同研究から生まれた品種です。2000年からは、赤色キウイの開発に取り組み、第2世代を栽培した今年、ようやく試験出荷までこぎつけました。年内に商業生産に入るか決定することになっています。

■30年には売上60億NZ$も

売上の増加に伴い、ゼスプリの2018/19年度の税引き後純利益は、過去最高の1億7,980万NZドルで、前年同期比で77%増加しました。

マティソン最高経営責任者(CEO)は、来年度の見通しも良好だと語っています。また、NZのキウイ業界は、2027年の生産量は17年に比べ54%増加し、売上高も30年には60億NZドルにまで上昇すると予測しています。

その一方で、労働力不足が成長を妨げる可能性があるとの指摘もあります。今年4月には政府社会開発省が、キウイの主要産地での季節労働者不足を宣言しました。これにより一時滞在ビザの保有者が同地で働けるようになりましたが、人手不足は解消しなかったようです。

ゼスプリは、27年までに7,000人分の追加労働力が必要になると予想していますし、30年までに新たに1万4,329人の雇用が必要になるとの見通しもあります。

【ゼスプリ・グループ】
本拠:マウント・マウンガヌイ
主要人物:ダン・マティソン最高経営責任者
主要事業:キウイフルーツの生産・輸出
売上高:31億4,000万NZドル (2018 / 19年通期)
純利益:1億7,980万NZドル(同)
従業員数:約300人

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る