第10回 コジオスコ国立公園の水

高山アルプスとして知られているコジオスコ国立公園の雄大な自然を前に、この地域の水が、水力発電の動力になっていることはあまり知られていない。実際には同国立公園内には10数個のダムのほか、それらをつなぐ送水管が張り巡らされている。
水力発電はスノーウィー・ハイドロという会社が行っている。ニューサウスウェールズ州南東部クーマ(Cooma)に市民向け展示施設があり、スノーウィー・ハイドロの事業が細かく展示されている。
水力発電の利点は、ほかの電力供給源と異なり、電力需要が増えるピーク時に合せて電力発電が行えるため、電力を高値で売ることができること。ただ、国立公園内にある上、集水域にある水が電力発電の源であるため、発電量を大幅に増やすというのは難しいという。

スノーウィー・ハイドロの面白い取り組みとしては、集水域に降る水を増やすために、試験的に「クラウド・シーディング」と呼ばれるプログラムを2,150平方キロメートルのエリアで実施している。ヨウ化銀を含む粒子を湿気が多くなってきた空に放ち、降雪量の増加を促す。これによる環境への影響や、風下での降水量の低下などは確認されなかったという。

またダムに貯まった水はまた、同国立公園西部のかんがい農地に送水されている。以前、同地域を視察した際、「この水が世界の食糧需要を支えている」と大学教授が力説した後に、「ところで日本の食料自給率はどれくらいか知っているか」と国際色豊かな学生たちに聞き、筆者は首をすくめたことを思い出す。

豪州は水が貴重だとよく聞く。電力供給や食糧生産、スノーレジャー、河川の生態系維持など、同国立公園の水は実に多様な形態でわれわれの生活に恩恵をもたらしている。たかが水だが、されど水ということだろう。

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