第12回 キューバの有機農業

 

「キューバ」と聞いて、読者の皆さんは何を思いつくだろうか。ラテン系の音楽、美しい海、タバコ……。実はキューバは、世界でも有数の都市農業が盛んな国。特に首都ハバナでは有機農業がとても普及している。途上国と呼ばれる国の都市が、外国からの支援や開発を最低限に抑えて食料生産を行い、人口を養うことができるという視点からもキューバの都市農業は興味深いものがある。

「都市農業」とは、都市部やその周りで食料生産を行うこと。途上国では、食材を確保するために家庭ごとに生産される傾向がある一方、先進国では趣味の一環として行われることが多い。

キューバが都市農業を始めた要因に外部との関係がある。1989年に社会主義体制が崩壊。それまでは、ソ連などの社会主義国から食料が供給されていた上、供給された石油や化学肥料、農薬を使うさとうきびの単一栽培(モノカルチャー)が行われていた。ただその後供給が滞ったことを背景に、食料不足の危機に直面し、都市農業が注目されるようになった。

キューバの都市農業のコンセプトは「地域の、地域による、地域のため」の食料生産だ。政府が都市部での農業規制を緩和したこともあり、1995年までに食料不足は解消され、都市に住む人々は新鮮な野菜を食べることができるようになった。そのころにはハバナに約1万5000ヘクタールの都市農業用地が存在している。都市農業が有機農業であったことも、化学肥料などを輸入できない状況に陥った他国との関係があったと言ってよい。2000年代に入ると、ハバナで消費される食料の90%が都市農業から供給されるようになったようだ。

アナリストたちは食料不足の危機を終えた後、都市農業や自給自足といった食料供給システムは崩壊すると予想していた。だが、おもしろいことに危機を乗り越えた後のほうが、生産量が増加した上、質も向上し、余剰分は欧州や米国に輸出され始めている。

さてここオーストラリアは、食料自給率が100%を優に超える。それでも都市農業が行われている。何が人々を農業に向かわせるのだろうか。筆者はその根源についてまだよく分かっていないものの、都市農業の存在は今後、途上国、先進国問わず拡大すると予想している。

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