第15回 グレートバリアリーフと土砂流出

観光スポットとしても人気が高いグレートバリアリーフ。沖縄の島々のように青い海と美しいサンゴ礁が魅力で、読者の中にも訪れたことがある人は多いだろう。ただ、農業が盛んな流域の河口に位置するグレートバリアリーフにも、やはり同じく土砂流出が問題化している。

土砂流出とは、自然林などが撤去され、被覆が少なかったり、土が剥き出しになった土地に雨が降ることで、表面の土砂が農地などから河川へ流れ出ること。河口にサンゴ礁が生息する場合は、河川から海域に運ばれた懸濁物質により、摩擦による損傷や藻類の光合成の妨げなど、サンゴ礁の生育に影響を与える。

サンゴ礁の保護や研究を行うCRCサンゴ礁リサーチセンターによると、グレートバリアリーフを臨む流域全体の面積は、42万4,000平方キロメートル。流域の数は38個で、バーデキン川(13万平方キロメートル)とフィッツロイ川(14万2,000平方キロメートル)流域が全体の64%を占める。流域全体の75%で牛の放牧が行われ、サトウキビ生産は1%に過ぎない。

流域全体には年平均して、380立法キロメートルの降雨があり、約70立法キロメートルの水が河川に流出する。流出は特に夏の洪水時に多い。少し古いが2003年のデータでは、土砂は年1,400万トン、窒素は同4万9,000トン、リンは同9,000トンがグレートバリアリーフに流出しているようだ。この150年間に、土砂は3~10倍、窒素は少なくとも2倍、リンは少なくとも3倍にそれぞれ増加したという。

背景には、自然林が開墾されたり、干ばつ時に過剰な放牧が行われたことなどがある。また窒素やリンが増加したのは、肥料使用の増加の結果とみられる。

また昨今の洪水やサイクローンの影響で、土砂のグレートバリアリーフへの流出を加速させたと予想される。一度サンゴ礁に堆積した土砂を取り除くのは容易ではなく、流域全体での取り組みが必要になる。様々な生物の生息の場となっているグレートバリアリーフを守るために、一人一人ができることを模索したい。

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