第8回 風力発電と「ニンビー」

再生可能エネルギーの代表格ともいえる風力発電。読者の皆さんは自分の家の横に風力のタービンが建設されることになったら、どういう思いを抱くだろうか。そういった施設の必要性は感じているが、自分の裏庭には建設してほしくないとする住民やその態度はNIMBY(Not In My Back Yard=ニンビー)と呼ばれている。
豪州でも再生可能エネルギーに注目が集まりつつあり、風力発電の建設も各地で進んでいる。ただ近隣住民からは健康や家畜への影響が懸念されており、新聞の紙面でもたびたびそういった主張を見かける。住民は発電所そのもので苦言を呈する場合もあるが、計画や建設段階で彼らの主張が反映されていないことも関係しているようだ。
建設や開発を手掛ける政府や企業が地域住民に行うコンサルティングにおける「正当性」や「公正さ」を調査した研究がある。
きちんとしたコンサルティングが行われない場合、◇立場の違った者同士の争い◇抗議グループの設立◇コミュニティーの分裂◇コミュニティー内で不公平さが広がる◇意志決定の遅れ——などの問題が生じるという。
そもそもそのなぜ意見の相違が起きるのか。それは◇信仰◇観点◇優先順位◇価値観◇知識のレベル◇経験◇姿勢◇モラル◇期待——などが異なっているためだという。
グループ別の「公平」の認識としては、個人的に利益を得る勝者と個人的に損失を被る敗者は「実際の成果」が、損得にかかわらないほかの住民は「成果の公平さ」が、コミュニティー全体ではコンサルティングの「過程の公平さ」がそれぞれ影響するようだ。
「クリーン」と称される風力発電も、ニンビーをはじめとした人々に受け入れられなければならないとなると、実に難しいものだと思われる。

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