第9回 コジオスコ国立公園の変化

「これがオーストラリアの最高峰?」読者の皆さんの中は、豪州最高峰のコジオスコ山周辺を訪れたことがある人もいるだろう。オーストラリアの最高峰は日本の富士山のように単独でそびえ立っているわけではないのだが、緑豊かな自然が味わえる同地域は夏にブッシュウオーキング、冬に冬季スポーツを楽しむことができる。まさに豊かな自然を満喫できる場所といっても過言ではない。

現在、国立公園となっている同地域。時を戻れば、ここは放牧地だった。欧州から来た人々はこの地域を欧州のアルプス地方のような形で受け止め、夏に家畜を放牧させに来ていたようだ。ただ豪州のアルプスは軟弱なため、過放牧により表層の植生は奪われ、侵食も起こっていたという。

その後、放牧が禁止された大きな理由に、かんがい用水用のダムと水力発電施設の建設がある。水質汚染が懸念されたためだ。国家プロジェクトとして進められた「スノーウィーマウンテンズ計画」は25年の歳月を経て1974年に完成した。水力発電は再生可能エネルギーとしても注目を集めており、運営会社スノーウィー・ハイドロのウェブサイトによると、東部州の総再生可能エネルギー電力の約40%を供給している。またダムの水はかんがい用水として主に西側の農地へ送水され、農業生産を支える重要な役割を担っている。

同国立公園は保護すべき自然があるからではなく、放牧による荒廃を防ぐために作られた、かなりめずらしいケースなのではないかと思われる。現在、国立公園内での放牧が禁止されているため、それ以下の地域に家畜の密度が高り、国立公園化されていない低地部分で環境汚染が顕著化しているようだ。環境問題は一つ解決したかと思えば、矢継ぎ早に次の問題が起こっている。

さて、時刻々と変化してきたコジオスコ山周辺の環境。今後10年、20年後はどうなっているのだろうか。

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