第5回 「ナチュラル・シークエンス・ファーミング」とは

農業地帯を車で走っていると、渓谷のような河川の浸食を目の当たりにすることが多い。大規模になると水面から地上までの距離が数メートルを超える。河川の浸食を食い止める方法の一つとして、ニューサウスウェールズ州のハンターバレーに住むピーター・アンドリュース氏が提唱した「ナチュラル・シークエンス・ファーミング(NSF)」という方法が興味深いので紹介しよう。

その方法とは「川の流れを緩めること」。川に石ころを積み上げ、今までは瞬時に流れ去ってしまった水をその場にとどめながら、ゆっくり流していくのがコツだという。

一部の浸食は過放牧や地下水位の低下により土壌が乾燥したことによるため、NSFを利用して水の流れを緩やかにすることで、地下に浸透する水が増加し、地下水と河川水が結びつくようになる。これにより河川付近に広がる牧草の育ちもよくなり、土壌が流出するのも防げるようになるという。河川敷には植生が戻り、動植物の憩いの場となり、いわゆる健康的な河川環境を取り戻すことが可能のようだ。

ただ、この方法はまだまだ研究の余地がある。どういった仕組みでいい連鎖が生まれるのか、窒素やリン酸などがどう変化するのかといった科学的なことはまだ研究途上のようだ。

またNSFは上流のはんらん原のみで利用可能で、土の質により効果が異なるなどの制限がある。さらに下流域の利用者は、上流域でのNSFの実施により、下流域に流れる水量が減少すると反発する面もある。その場所の環境が改善されたとしても、流域全体では議論を醸し出してしまうのは、豪州の水不足を反映しているゆえんかもしれない。

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