第2回 裏庭でのガーデニング

オーストラリアの住宅地を見たことのある読者は、フェンスがなくて家の中が道から丸見えだなと感じた経験はないだろうか。渡豪当時は防犯上大丈夫なのだろうかと思ったものだ。これは街全体の景観を保全するために、フェンスで自分たちの敷地を仕切るのを禁じる法律があるためだ。そのため、玄関前の敷地は花などを育てる空間として利用されている。

景観を重視する表の庭先とは逆に、裏庭では野菜などを育てるガーデンを持つ家庭が多いようだ。ある研究では、移民グループ別にガーデニングの種類を調べたところ、マケドニア人は野菜やフルーツ、ベトナム人はハーブやフルーツを育て、イギリス人は庭園として管理している人が多いとのこと。マケドニア人とベトナム人は食料生産に重点を置いている一方、イギリス人は余暇を楽しむ場と考えているようだ。もっとも顕著な違いは、マケドニア人とベトナム人は裏庭を子どもの遊び場とする人が多い一方、イギリス人は手入れや芝刈りなどのガーデニング作業に長時間を費やし、景観を大切にする傾向があるようだ。

こういった傾向から、ガーデニングにもそれぞれの国による文化的な背景が反映されていることが垣間見える。さらにこの傾向は、移民の親を持つ1世にも受け継がれているそうだ。例えば、ヨーロッパからの移民の親を持つ1世のガーデンにはかんきつ類の木が植えられていることが多く、「子どもの頃の思い出」を残しておきたいという気持ちが強いようだ。

では、何世代もオーストラリアに住んでいる人たちはどのようなガーデニングをしているのだろうか。オーストラリアで生まれ育った知人に聞くと、ガーデニングで自分の時間を持つことを好むという。その知人の家を訪ねると、裏庭にビッシリと野菜菜園が広がっていた。知人は趣味でガーデニングをしているといい、ポッサムに果実を食べられないようにネットをつけていると話してくれた。

個人的な印象としては、子どもが大きくなって、家事などから解放された女性が裏庭でガーデニングにいそしんでいることが多いようだ。人々は、食べ物を作るということ以外にもガーデニングそのものを楽しんでいることが分かる。どことなく、オーストラリア人の気さくさにもつながっているように思える。

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