第22回 オーガニック商品の失敗から学ぶ

 

いまやスーパーマーケットで食料品を購入する際に、無意識的にオーガニック商品がかごに入っていることもめずらしくなくなった。大手食品会社がこぞって商品に「オーガニック」を取り入れている。

オーガニックは主流になり得るのか。ある研究を基に、豪州大手の過去に少しさかのぼって考えてみたい。アンクルトビーズ(Uncle Tobys)は15年以上前にオーガニックのシリアル「ビタ・ブリッツ(VitaBrits)」を販売していた。

アンクルトビーズは、環境への懸念の増大と自社商品をマーケティングする革新的な機会と位置づけ、1990年に認証付きのオーガニック小麦を購入し始めた。さらに環境保護運動「ランドケア・オーストラリア」のスポンサーになり、環境保全への献身を強調した。

「ビタ・ブリッツ」は小麦しか使用していないため、比較的容易にオーガニック商品として作りやすかったと思われる。ほかの商品では、果実やナッツなど複数の原料が必要なため、オーガニック商品を拡大するのは難しいとの見方だったようだ。

「オーガニック・ビタ・ブリッツ」のパッケージと販促資料では、企業の環境保全への注力を表していた。さらに「Healthy for You」というスローガンから分かるように、この商品を食べれば健康になるというイメージも発信していた。

ただ、「環境」と「健康」のほかに「経済効率」も考える必要があった。オーガニック小麦の価格は90年以降上昇し、96年には通常の小麦より30%高くなった。そのため、アンクルトビーズは96年にオーガニック小麦の調達を止め、97年にスーパーの棚からついに「オーガニック・ビタ・ブリッツ」の姿は消えた。

アンクルトビーズは生産停止について、小麦価格のほかに、オーガニック小麦の生産者が工場から遠かったこと、消費者がオーガニック商品を購入していると認知していなかったことを挙げている。研究では、大半のオーガニック商品は価格が高いためニッチマーケットである一方、アンクルトビーズの「オーガニック・ビタ・ブリッツ」は主要食品で、かつ主流の消費者向けだったと分析している。

その後アンクルトビーズは、「健康」と「沿岸での生活スタイル」を強調したマーケティングに方針転換し、「ランドケア」を支援しつつもパッケージにロゴは付けなくなった。オーガニックのコンセプトとしては、長期的なものなのだろうが、経済的には短命と言わざるをえないのかもしれない。筆者としては、主流の消費者向けのオーガニック商品を展開する突破口となるような企業が現れることを望みたい。

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