第27回 「いただきます」とは何か

「また腐らせてしまった」「同じ食材をつい買ってしまった」……などというのは、読者も体験されたことがあるだろう。豪州では最近、食材のゴミ箱行きが問題化している。

ニューサウスウェールズ(NSW)州政府主導のキャンペーン「ラブ・フード・ヘイト・ウェイスト」によると、食材の破棄が一番多いのは若者。18~24歳の若者は週に24.90~26豪ドル(約2,000~2,080円)分の食材を破棄しているという。これが大きく寄与し、NSW州だけでも年25億豪ドル分の食材がゴミ処理場行きとなっている。

■野菜は年616ドルを破棄

一方、豪保健・福祉研究所(AIHW)がこのほど発表した食品と栄養に関する報告書では、家庭からは年間50億豪ドル相当の食品が捨てられている。このうち果実と野菜は11億豪ドルに上る。また家庭では平均して年616豪ドルの食材が破棄されている。高所得者層では同803豪ドル、低所得者層では同518豪ドルだ。

またサプライチェーンでも小売り店舗に並ぶ前に拒否される農産物も多いようだ。例えばバナナは、生産量の10~30%が見栄えが悪いとして店に拒否されている。野菜農家の業界団体オースベジ(AUSVEG)は「消費者は生鮮野菜や果物に対する認識を変える必要がある。傷が付いているものでも受け入れれば、余分なゴミを出さずに済むことができる」と指摘している。

さて、食材を大切にすることはなぜ大事なのか。「“いただきます”とは“あなたの命”をいただきます、ということ」という言葉が私は好きだ。小学校ではこの食材を作ってくれたすべての“人々”に感謝しなさいと教えられて育った。それも大切なことだが、大学時代には、この言葉を通じて食べる対象である“動植物”に感謝することを知った。

世界では、飢餓と飽食のアンバランスさが際立つ。飽食時代に育った者として、生物を犠牲にして生きることを胸にしながら食事するようにしたい。

関連記事

アーカイブ

ウェルスのトリビア

ソラマメが過去最大の豊作を記録しました。しかし、ここ1カ月の価格は上昇しています。なぜでしょうか ?(答えは記事中に)

ページ上部へ戻る