第29回 途上国における都市農業

たびたび当コラムで書いている都市農業について改めて考えたい。今回は、今後の人口増加の大半を占めると考えられている途上国の大都市に根付く都市農業はどうなっているのか、どのような役割があるのか、紐解いてみたい。

世界で都市農業に携わっている人数は約8億人、世界の食料生産量に占める割合は05年に33%にまで拡大したといわれている。先進国のような「余暇を楽しむ」などといったことよりも、途上国では◆食糧保障◆貧困の半減◆公共衛生◆持続的資源管理―が主な目的だ。

都市の“農家”は主に低所得層で、比較的長期間にわたり都市に住んでおり、女性が多い。超貧困層よりはやや良い生活をしているのが特徴だ。女性はガーデニングから家庭菜園、食品加工、販促にまで多岐にわたりその役割を果たしている。都市経済の中で女性の地位はいまだに低いことから、小規模な生産に携わる傾向にある。

都市農業で生産された農産物の消費者は、農家自身や、地域のマーケットや露店に訪れる消費者だ。都市農業には、種子や肥料、飼料、農薬、道具などのインプットが必要で、これらは経済セクターに属している。

ただ、農業関連のロジスティクスは地方に焦点を当てており、小規模な都市の農家のニーズには適応していない。 農業をする上で重要になってくるのは、公共セクターだ。都市によっては、農業が違法であったり、政府が消極的だったりする。

キューバでは、街中でも農業が認められている一方、インドネシアのように政府によって規制されており、住民の意思があってもできない地域も存在する。 都市計画の中で農業があまり重要視されず、発展した後で農業を持ってきた先進国の大都市。一方、農業がすでに混在している途上国の大都市。そういった意味では、途上国では都市機能としての農業にまだポテンシャルがあるように思える。

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