第31回 農業地帯を走るリサイクルの波

日本や豪州で農地に行くと、都市に比べて用地面積が広いためか、周辺にゴミが山積みになっているケースを良く見かける。作物栽培に熱意を注ぐあまり、プラスチック容器やビニールゴミなどの処理はある意味二の次なのかもしれない。そう考えていた矢先に、地元の農業新聞に挟まっていた化学薬品容器のリサイクル事業のパンフレットが目に留まった。

豪州には全国規模で「ドラムマスター(drumMUSTER)」プログラムと呼ばれるリサイクル事業がある。リサイクルの対象になるのは、作物を保護するための農薬や家畜の動物用医薬品に使用される金属とプラスチックなどの「ドラムマスター」ロゴが付いた容器。このプログラムは全国生産者連盟(NFF)と農薬メーカーなどの業界団体クロップライフ・オーストラリア、動物衛生産業を代表する豪州動物衛生連合(AHA)、動物用医薬品製造・販売協会(VMDA)、豪州地方自治体協会(ALGA)が提携して行っている。

1998年6月に提携団体が産業廃棄物削減スキーム協定を締結し、容器の回収・リサイクル事業が始まった。新聞に挟まれていたパンフレットは2,000万個目の容器回収を祝福するために制作されたものだ。これをみると、今やこのプログラムに参加する製造企業は豪住友化学などの日系を含め、ニューファーム、バイエル、豪モンサントなど97社に上る。

回収所は全国760カ所あり、現在までに2万5,000トンの容器がゴミ処理場に行かずに済んでいるという。現在では、農家の97%でドラムマスターロゴが付いたブランドを認識しており、65%が同プログラムを利用している。ちなみに集められた容器は認可された加工業者24社によって、新たな命が吹き込まれる。

豪州の地方に行くと、気持ちいいほどに広い農場が広がっている。このリサイクル事業が地域の景観維持にも役立っているのだと考えさせられた。

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