第35回 公正な対価だけでないフェアトレード(上)

コーヒーや紅茶など、普段から口にするものが途上国から来ている。本コラムで何回か取り上げた、途上国の生産者支援につながるフェアトレードについて、今後数回にわたり掘り下げたい。

長年アジアの生産者と向き合い、現在は豪州とニュージーランドでフェアトレード(FT)を推進するフェアトレード協会(FTAANZ)で、FTプログラムコーディネーターとして働くリンダ・チャルマーズさんに話を聞いた。

「単にFT商品の販売拡大だけでなく、消費者の消費行動の変化を促すのがFTAANZの目的」とリンダさんは言う。FTAANZは約200人のメンバーから成る非営利組織で、FTの普及や認知度向上、FT活動の支援などを行っている。

スーパーでFTラベルの付いた商品の販売が増加する中、FTAANZでは世界フェアトレード機関(WFTO)に加盟する生産者団体が製造する民芸品の販路拡大も目指している。

こうした民芸品には通常、FTラベルは付いていないが、リンダさんによると、向こう数年の間には100%FTの商品を製造・マーケティングする団体向けのWFTOラベルも誕生する見通しだ。そうなれば、コーヒーや紅茶などに限らず、認証を受けた団体が作ったすべての商品が、“FT”と消費者に認識されやすくなる。

■途上国内でのサイクルも

FTには、◆生産者に仕事の機会を提供する◆事業の透明性を保つ◆公正な取引を実践する◆生産者に公正な対価を支払う◆児童労働および強制労働を排除する◆差別をせず、男女平等と結社の自由を守る◆安全で健康的な労働条件を守る◆生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する◆FTを推進する◆環境に配慮するの10項目の指針がある。リンダさんは、FTの10指針を見ると、FTは生産者への適切な賃金の支払いだけではなく、人々の人権を守り、自律性を促すことできることなど、様々な局面があることを知ってほしいと主張する。

FTは拡大とともに、公平な労働環境下で製造された商品が先進国へ輸出されるだけでなく、途上国の中流層が国内で造られたFT商品を購入するような流れも出てきている。FTの将来について、「ゴールはすべての貿易で人権が守られ、生産者に適切な賃金が払われる公平な社会になること」と語るリンダさんの熱意が感じられた。

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