第45回 アルパカ産業に期待

シドニー在住の読者の中には、先ごろ開催されていたイースターショー(農業祭)を訪れた人もいるだろう。毎年イースターショーを楽しみにしている筆者は今年、オーストラリアを代表する家畜である牛や羊に並び、アルパカがとても気になった。

日本ではあまり見る機会のないアルパカだが、オーストラリアの地方を車で走っているとごくたまに見かけることがある。オーストラリアのアルパカ産業は、1980年代に始まったばかりの新しい産業だ。

南米原産のアルパカは、世界で約300万頭が生息するが、9割以上が南米で育てられている。品種は「Huacaya」が9割、「Suri」が1割で、オーストラリアでもほぼ同じ割合で飼育されている。

オーストラリアには13万頭のアルパカが飼育され、950トンの原毛が生産されている。飼育農家は2,500戸に上る。

主に原毛向けに育てられているが、最近では肉の利用も注目されている。少し前にはキャンベラの農業祭で、アルパカ肉のバーガーが販売されるとのことで議論を呼んだ。その肉を商業化していきたいというのが業界の願いだというが、愛らしい顔のアルパカを肉用として受け入れられない消費者もいるようだ。

■アルパカ抗体を医薬品に

さて、アルパカは輸出でも脚光を集めている。中流層が増加している中国では鉄鉱石や食糧だけでなく、高品質のアルパカ毛需要も伸びてきている。2日付ABCルーラルによると、500戸の農家グループ「プレミアム・アルパカ」は2月に最高品質のアルパカ毛が1ベール(=150キロ)1万豪ドル(約98万円)と世界最高値で販売。つまり1キロ当たり平均66豪ドルで販売されたことになる。これまでは半年に1度中国向けに1ベールのアルパカ毛を出荷していたが、現在は1トンや500キロ単位の注文が入るという。

最近では、アルパカから抗体医薬品を製造する研究が進められている。ラクダ科の哺乳類は、血液中に特殊な抗体を生成することで知られており、豪農業研究開発公社(RIRDC)が行った研究では、アルパカから取れる抗体がヘビ毒を中和させる作用があることが分かった。現在馬や羊、ウサギから抽出されている抗体医薬品が主だが、アルパカの抗体はそれらの品質を飛躍的に改善させられる可能性を秘めているという。

オーストラリアの3大地方産業といえば、牛肉、小麦、酪農だが、アルパカに加え、バッファローやラクダ、鹿、飲用乳向け羊など新たな家畜が畜産業のスパイスになっているように思う。
 

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