平常運転
オーストラリア政府が外出規制を発表して4週間目。いまや不特定多数の人間と空間を共にするのはスーパーマーケットぐらいだが、店内で社会的距離を維持するのは難しく、人となるべく接近しないよう、通路を右往左往している。
酒はディスカウントショップではなく、近所の酒屋で買っている。ここは鉄格子のドアが閉まっていて、客が来ると店主が開けてくれる。ほかの客を見たことがなく、人と接触する可能性が限りなく低い。
いつも同じ銘柄のビールしか買わないのだが、手ごろな赤ワインがないか尋ねると、嬉しそうに近づいてきた。距離を取ろうと思わず後ずさり、陳列棚に背中をぶつけた。高そうなワインを危うく落として割るところだった。まるでコントである。
「最近、商売はどう?」と尋ねると、「うーん。あまり変わらないね」とマスクを着けた顔が下を向く。普段から客がいないのだから当然か。悪いことを聞いてしまったと、こちらも下を向いた。(城一)
投稿者プロフィール
最新の投稿
- トップ記事2024年4月19日豪の水産物生産高、停滞へ 養殖は成長
- 水産2024年4月19日TAS労働党の新党首、サーモン養殖事業を擁護
- 水産2024年4月19日NZロブスター業界、自主的漁獲制限を導入
- 畜産2024年4月19日豪の畜牛価格、2年で倍に=アナリスト予想