豪先住民も「農業」?

狩猟・採集民だったオーストラリアの先住民について、実は農業を行っていたとの見方がある。先住民で作家でもあるブルース・パスコー氏の主張だ。

パスコー氏は、著書「ダーク・エミュー」の中で、英国人らの入植当時の記録から、先住民が雑穀の栽培やウナギの養殖を行っていたとした。ただ、先住民社会の研究や、彼らの語彙(ごい)に農業を意味する言葉がないことなどから、学界では彼の主張は否定されている。

一方、彼の主張の賛否は政治的に分かれた。革新系メディアはパスコー氏を支持したが、保守系のコラムニストは批判的だった。革新系には、先住民が農業をしていたなら彼らの地位向上につながると思ったようだ。保守系には、その思惑が見えたので、記録を無視した意見でしかなかったようだ。

ただ、実はどちらも「採集・狩猟=未開」が暗に前提となっている。先住民の高度な自然管理が見直される中、そうした図式こそ見直すべきだろう。(欣達)

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