桜肉考

欧州では牛肉食品への馬肉の混入が社会問題となっているが、日本人にとってはピンとこない。古くから馬肉を食べる習慣があるし、「蹴飛ばし屋」という専門店も存在するくらいだ。

今回の件が特に問題視されている英国では、馬肉を食べるのはタブー。「馬は人間の友」という意識が根底にあるようだ。米国でも同様らしい。

この感覚、捕鯨に対する反発にも通ずる。「あんなに知能の高い、優しい動物を食べるなんて」ということだろう。

一方、反捕鯨団体に「独自の食文化を侵すな」と憤る日本人も、韓国やベトナムの犬食文化には抵抗がある人が多いはずだ。鯨を犬に置き換えると、欧米豪人の嫌悪感が理解できる。

大体において牛や豚の知能が犬や馬にそう劣るとは思えない、いや知能が低ければ食べていいのか─。この考え方を敷延するとベジタリアンに至るが、どっこい野菜だって生きている。どこかで線引きしないと霞を食らう仙人になるしかない。(短吉)

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