激戦区のラーメン

シドニーのワールドスクエアにあるラーメン屋で食べていたところ、オーナーの日本人女性店長が、「煮干しのダシはちゃんと効いていますか?」と尋ねてきた。

そう言えばあまり煮干しの味はしないかもしれないな、と正直に言ったところ、店長は恐縮して謝ってきた。聞くと、スープは厨房で朝早くから仕込み、輸入した既製品は使っていない。めんも自製だというので驚いた。

飲食店の経営を考えると、コストや手間を省くためには、どの工程を省略するかばかり考えがちだ。味にこだわるのは意外に難しい。この店長は飲食店経営が長いが、ラーメン屋がこんなに大変だとは思っていなかったという。

店長は開店前、何十種類ものラーメンを食べ比べて味を研究したという。シドニーは外国の中でもラーメン激戦区と言えるが、そのせいか、多くの日本人の間でこの店が一番おいしいとの評判を持つ。ラーメンを作る側の気合いを知り、味わう心構えが変わりそうだ。(西嵐)
 

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