ココナツ信仰

太平洋諸国の食文化を語る上でココナツは欠かせない。芋やバナナは、ココナツミルクで煮る。生魚を食すサモアでは、魚の切り身をココナツミルクであえた料理があり、チリやレモンをかければ絶品だ。

ココナツミルクに、熱した石を入れて水分を飛ばした料理もあり、肉のような不思議な味がして美味。青いココナツを割れば、ココナツジュースでのどを潤すこともできる。太平洋諸国の人が米食を始めてからは、当然、米をココナツミルクで炊いていた。

しかし近年、太平洋地域で急増する糖尿病の原因の一つに、食生活でのココナツの過剰な使用があるとされる。筆者の知人も糖尿病が進んで足を切断した人がいた。

だからといって、彼らがココナツの使用を止めるとは思えない。そのこだわりは、日本人のしょう油へのこだわり以上のものを感じる。食文化とは、単なる味覚の好みではなく、信仰に近いものなのかもしれない。(頼徳)

 

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