ボクの顔をお食べ

精肉店の看板は日本も当地もあまり変わらないようで、コック帽をかぶった豚がニッコリ笑っていたり、エプロンをつけた牛がよだれを垂らしていたりする図柄を見掛ける。

日本人女性と結婚したオージーと子どもの話をしていたら、「アンパンマン」が自分の顔をもぎ取って与えるのが「気持ち悪い」と言う。確かに初めて見たときにギョッとした覚えがあるが、気持ち悪さは感じなかった。

アンパンマンが精肉店の看板の豚と違うのは、自らの意思で肉体を差し出しているところだろう。その点が理解し難いことを「気持ち悪い」と表現したのかもしれない。

アンパンマンの発想の根底には、作者の故やなせたかし氏が戦争中に体験した飢えがあるという。アンパンマンの「パンは外国、アンは日本のもので、洋服を着ているが中味はまぎれもない日本人」そうだ。アンパンマンを受け入れられるかどうかが日本人度のバロメーターになる、わけはないか。(短吉)

 

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