真の豚好き

仕事で農家向けの新聞に目を通しているが、掲載されている家畜の写真に癒やされている。愛嬌のある羊や豚がお気に入りで、羊の写真は羊好きの同僚に渡しているが、豚の写真は何枚か切り抜いて職場の机に貼っている。

家畜のかわいい写真をみていると、肉を食べる回数が自然に減ってくる。肉の味は好きなのだが、写真のあどけない姿が頭にちらつき、ついつい魚介類や野菜の料理を選ぶようになった。思いきって数カ月前から「豚断ち」を宣言したが、面白くないのは肉好きオージーの夫だ。

豚肉を食べる人がいなくなれば、豚の家畜としての価値がなくなり、誰も飼育しなくなるため数が激減する、というのが夫の理論。豚肉を食べてこそ「真の豚好き」だと主張する。無理やりに一切れ食べた久しぶりのとんかつ。食べてしまったという後悔とともに、今でもあのおいしさが忘れられない。(葉羽)

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