冷凍ベリー事件

A型肝炎ウイルスが混入したとされる中国産冷凍ベリーを食べて、ウイルスに感染した人の数が32人になった。この冷凍ベリーは2月中旬にリコールされており、ウイルスの潜伏期間が平均で1カ月であることから、もう感染者数は増えない見通しだ。

すわ集団感染か、と発生時は大騒ぎになったが、今は静かなもの。アボット首相は事件を受けて、それまで消極的だった食品表示の規制強化に踏み切ったものの、新たな原産国表示案が閣議決定されるのは早くても8月。それに実は、ウイルスの感染源を特定する試験はまだ結果さえ出ていない有様だ。

食の信頼を揺るがす大事件。ベリーが国産だったら状況は違っていただろう。中国産を避ければ大丈夫との安易な「解決策」が普及してしまった感がある。食のリスク管理は個人の責任なのかと問いつつ、何の効果もないポーズにすぎないが、ひとまず眉をしかめて商品を凝視するようにしている。(葉羽)

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