強力な自然着色料

大のビートルート好きだ。オーストラリアに来るまでこの赤紫の野菜を知らなかったように思うが、日本の大好物レンコンへの哀愁から救ってくれるありがたい存在になった。

しかしこのビートルートにはひとつだけ、接触するものを赤ピンクに染めるという欠点がある。昼食用にビートルートのサラダを詰めたある日、そのタッパーが入ったバッグが横向きになっていることに気づいた。おそるおそる中を覗くと、ごく少量ではあるものの赤い汁が染み出していて、書類やノートの一部が赤色に染まっていた。

その中に、ある契約書が含まれていて、既に署名済みの原本だったので仕方なく知らないふりで投函した。雨に濡れて届く封書はあっても、赤く部分染めされたものは珍しいと思うが、今のところ返送されてきていないあたり、先方はオージー気質で気にしないか、同じくビートルート愛好家なのかもしれない。(百花)

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