地方の発信力

農家などによる東部州での炭層ガス開発への抗議活動で、非農家の住民がガス被害を撮影した自主制作ドキュメンタリー「フラックマン」が話題だ。農家向けに上映されていたが、「都会の人にも状況を知ってもらうべきだ」との意見が多く、最近はシドニーなどでも上映機会が増えている。

都市に圧倒的人口が集まる中、オーストラリアでは地方と都市の分断が長年の問題だ。農家の孤立に加え、農業の現場への理解不足や偏見がまだ根強い。家畜福祉をめぐる愛護家との対立も、誤解に端を発するケースが多いと聞く。対策として農家側からの情報発信の必要性が叫ばれているが、そう簡単ではない。

公共放送ABCは4月から、地域の分断を緩和し、都市と地方をつなぐための全国版情報番組「オーストラリア・ワイド」を開始した。週1回の放送で農村に特化しているわけではないが、地方発のニュースが増えることを願っている。(葉羽)

公式SNSをフォロー