捨てられる実り
- 2016/4/22
- ことの葉
熊本県阿蘇市のある酪農場で、地震による断水で機器を洗う水が確保できず、1日約6トンの生乳を搾っては捨てているというニュースを目にした。乳牛は毎日搾乳しないと乳房が炎症を起こしてしまうため、搾乳作業を止めるわけにもいかない。
今年1月に山火事が発生した西オーストラリア(WA)州でも、停電や道路の通行止めなどにより、大量の生乳が破棄された。重労働の成果で、生活の糧でもある生乳を捨てなければならない農家の心中はいかばかりだろう。
小学生の頃テレビで、価格安で捨てられる生乳や、トラクターでつぶされるキャベツ畑を見て心が痛んだ。実家がコメ農家の母は、「見ていられない」とチャンネルを変えたものだ。天災は避けようがないと思う一方、相場の動きや利益優先で農産物が破棄されることには抵抗がある。WA州で今月、大手スーパーへの納入を断られたモモ3万トンが破棄されたと聞き、せつなくなった。(葉羽)
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