天を仰ぐ
独系スーパーのアルディでレジに並んだ。予想より早く進み、あと1人というところでレジ係が「身分証明書を」。飲酒年齢に達しているかの確認だ。エキゾチックな横顔の女性の前には6本入りビールのパック。「車の中です」。「取ってきてください」。心の中で天を仰いだ。
彼女を待つ間、沈黙の時が流れた。しばらくして走って戻ってくる女性。ほっとするレジ係の男性と私。「国際運転免許証です。アラビア文字、読めますか?」。再び心の中で天を仰いだ。
「日付がないですね。店長を呼びます」とレジ係。日付もアラビア文字で書かれているので判別できないのだろう。国際都市シドニーなら店長がアラビア文字を解することもあり得ると期待したが、やって来た白人青年は「前にインドの国際免許証で購入を許可したよ」。いやいやそういう話ではないと三たび、心の中で天を仰いでいると、「私、急いでいるので」と女性は去って行った。ビールとわれわれを置いて。(城一)
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