会話系レジ
先日、スーパーで新たなタイプのレジ係に遭遇した。「会話系」だ。
先客の中年女性が額に赤い印をつけたインド人と思われるレジ係の男と楽しそうにおしゃべりしている。男は商品を手に取りながら「ヨーグルトが好きなんですね」などと言っている。会話している間は手が動かず、袋詰めは完全にストップしている。
後ろに並んだ客はあきれてほかのレジに移ってしまったが、暇だったので待つことにした。先客が支払いを終え、自分の番が来た。こちらは普通にしていたのだが、先方はコーヒー豆の袋を手にとって鼻先に持っていき、「オーガニック? いいにおいだね」と話し掛けてくるので、つい、「東ティモール産だよ」と答えると、「東ティモール?」。「インドネシアの隣の国」。「そうか。おれもコーヒーは好きなんだ。スパイスをたくさん入れてね」。「スパイスって何を入れるの?」。
気づいてみれば、すっかり会話に巻き込まれていた。案外、楽しかった。(城一)
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