ミディアムウェル
シドニーの街中で夕食をとる場所を探していて、近くにあったチェーンのステーキハウスに飛び込んだ。
テーブルには専属のウエイターがついた。おしゃべりで好感度の高い人だった。ステーキの気分ではなかったのでハンバーガーを頼むと、パテの焼き方を尋ねられた。おすすめを聞くと「ミディアムウェル」が良いという。その後熱く持論が繰り広げられ、「自分はバーガーを頼む客にはいつもこれを勧める。外側はカリっとさせたいし、かといってウェルダンだとジューシーじゃないし、でもミディアムはバーガーにとってはちょっとジューシーすぎるよね」云々。その気になってミディアムウェルを頼むと、彼は満足げに去って行った。
結果、提供されたバーガーは完全にウェルダンだった。オーダーが通らなかったのか、料理人の腕が悪かったのか分からないが、冗舌さの裏で全てが完璧にいかないオージークオリティーを思い知らされた瞬間だった。(岩下)
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