第9回 海外でも簡単!こんがりクリスピーな唐揚げ

今回は、我が家で一番人気のメニュー、から揚げを、オーストラリアで簡単においしく作る方法をご紹介します。揚げ物はあまりしなくても、必ず出番がやってくるのがから揚げ。子どもたちの大好物でもあります。ポイントはなんと、お菓子作りに使われるあの「粉」を使うことです。

日本では、鶏もも肉を漬け汁に漬けた後、片栗粉か、小麦粉と片栗粉をブレンドした粉をまぶして揚げる、というのが一般的なようで、私も日本ではずっと、片栗粉&小麦粉の衣で作っていました。片栗粉はパースではコーンフラワーで代替できます。

日本では小麦粉というと、グルテンの多い順に「強力粉」「中力粉」「薄力粉」と分かれていて、から揚げには大抵薄力粉を使います。ですがパースでは、そのような区分けはあまり一般的でないようです。その代わりにこちらでは、普通の小麦粉の「Plain flour」と、焼き菓子などに使われる、膨張剤があらかじめ入った小麦粉「Self-raising flour」の2種類は必ず置いてあります。

何かのレシピで、小麦粉とベーキングパウダーで揚げ物がカラっと揚がるというのを目にし、それならばとから揚げの衣にSelf-raising flourを使ってみると、予想外の好結果。仕上がりは小麦粉&片栗粉よりもクリスピーで、ボリュームのある食感に揚がると思います。好みもあるかと思いますが、細かいことをしなくても、安定してカリッとした仕上がりになるようです。

■片付けも楽

さらに嬉しいことに、Self-raising flourを使うと油が汚れにくく、粉が揚げ油の底にたまってしまう小麦粉&片栗粉を使うよりも片づけが楽です。もちろん、残ったSelf-raising flourはマフィンやパンケーキ作りに使いましょう。

詳しいから揚げの材料はブログ(http://perth-zanmai.com/)で紹介していますが、おいしく作るポイントは2つ。下味を付けた鳥肉をしっかり冷やすこと、そして、粉をなじませたら素早く揚げることです。

我が家には専用の揚げ物鍋というのがなく、普通の厚手の片手鍋を使っています。小さい鍋なので、レシピで紹介している肉の量(約800グラム)だと4回は揚げています。初めて挑戦する場合は、半量くらいで試してみるといいかと思います。

■思い込みを取り払う

実は私はかつて、から揚げとは専用の「から揚げ粉」を使って作るものだ、と思っていました。料理は全部市販品の「○○の素」を使うと思っていたのですが、子どもができて、先輩ママさんから料理の作り方を教わりました。市販品を買わなきゃ作れないと思っていたものが、家にある基本的な材料だけで作れるということに、私はとても感激しました。

これがなければ、おいしい食事は作れない─。自分のそうした思い込みを取り払っていくこと。複雑に見える食べ物や味付けを解きほぐし、それを自分なりに再現してみることに、私は単純に面白さを感じました。

パースに来て、日本とは違う食事情に困ることもありますが、大変だなと思いつつも、同時に面白さを感じています。

公式SNSをフォロー

投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。