第31回 冬におすすめ、シルバービート

パースでは季節ごとにさまざまな野菜が出回ります。

日本でおなじみの野菜も、意外にいろいろと栽培されていますが、逆に日本では見たことのなかった野菜も多くあります。

その一つが、シルバービート(Silverbeet)という葉物野菜です。国・地域によっては、チャード(Chard)やスイスチャード(Swiss Chard)という名前でも呼ばれおり、実は日本でも「フダンソウ」という名で栽培されているようですが、私は知りませんでした。

パースでのシルバービートの旬は、夏の暑い時期を除いて、秋から翌年春までの比較的長い期間です。

シルバービートはパースの気候に合っている作物のようで、流通量が多く、よく目にします。ちょうど今くらいの時期、南半球に冬が訪れ気温が下がってくると、葉が青々としてピンとなった、新鮮なシルバービートが店頭に並び始めます。

冬の間使える西洋野菜として、シルバービートはブロッコリーやケールなどに並び、大変人気があります。スーパーだけでなく、週末などに開かれるファーマーズマーケットでも、地元で育った新鮮なシルバービートがよく売られるようになります。

旬の時期は、ボリュームたっぷりの一束が、2~3ドルと手ごろな価格で買えます。パースで暮らすなら、ぜひとも日々の料理に活用したい野菜です。

■栄養も豊富

シルバービートは価格がお手頃なだけでなく、栄養面でも優れています。水溶性ビタミンB群の一種、葉酸を多く含んでいます。葉酸は細胞の合成・再生に重要な働きをする栄養素で、特に妊婦さんや赤ちゃんには欠かせない栄養素と言われています。ほかにも、心臓病やがんを予防したり、免疫力を高めたり、という効果があるそうです。

1束まるごと使います

シルバービートのもう一つの大事な栄養素は、鉄分です。ベジタリアンやヴィーガン(卵や乳製品など、肉以外の動物性食品も一切食しない厳格なベジタリアン)の人々は鉄分が不足しがちなので、シルバービートは重要な鉄分補給食品となっているそうです。

ただ、シルバービートはホウレンソウと同様、結石を悪化させる原因となるシュウ酸も含んでいるため、気になる方は、生食は控えてゆでて調理する、頻繁に食べすぎないなど、工夫するとよいでしょう。

■シルバービートの食べ方

シルバービートは味にクセがないので、洋風でも和風でもおいしく食べられます。

洋風であれば、チーズやクリームなどを使ったオーブン料理によく合います。日本でも人気の、ほうれん草を使ったグラタンやキッシュと同じようなイメージです。

ピーマンやミニトマトと合わせてベジタリアンキッシュにもできますが、コクが必要であればベーコンを加えるとおいしくなります。これからの寒い季節に、野菜たっぷりの温かいスープと合わせて食べたい一品です。

茎を薄くスライスするのがポイント

和風であれば、スライスしたニンニクと一緒にオリーブオイルとバターでいためて、しょうゆとレモン汁で味付けする調理法がおすすめです。日本酒を少し加えたり、マッシュルームや肉類を加えたりしてもおいしいです。

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。