第33回 寒い冬に、野菜だけで作る和風スープ

野菜のうまみを引き出します

パースは現在冬まっただ中で、朝には2℃前後まで冷え込む日もあります。

この時期は寒くて雨が降りやすい時期でもあるので、今回は、冬場の寒い時期を温かく過ごせる、パースで手に入る材料で作るスープを紹介します。おかずと白米という定番の和風の食卓に、とてもよくなじむ1品です。

和風スープといえども、日本製のだしやスープの素は使いません。タスマニア州産の昆布(ケルプ)からだしを取り、たっぷりのショウガを効かせます。鶏ガラなど動物性のだしを使わなくても、味に深みのあるスープが作れます。健康や食の嗜好(しこう)のために味が物足りなくても我慢している、という感じにはなりません。

味付けはシンプルで、塩としょうゆしか使いませんが、風味付けに日本酒を少々足すのもお勧めです。

栄養たっぷりの一品

■野菜だけのスープをおいしくするコツ

動物性の材料を使用しないこのスープの味に深みを出すためにはちょっとしたコツがあります。ショウガをたっぷりおろして、ゴマ油でじっくりといためて香りを出すのがポイントです。

4~8人分に必要な基本の材料は◆白菜200グラム◆菜心(チョイサム)4株◆ニンジン1本◆タマネギ半分◆ショウガ1かけ◆ゴマ油大さじ2分の1◆昆布粉末1~2つまみ◆塩少々◆しょうゆ大さじ3杯◆日本酒大さじ1杯◆水1リットル─です。

手持ちの野菜やそのほかの好みの材料で自由にアレンジできるので、溶き卵、細目のライスヌードル、豆腐などを加えるのもお勧めです。

おろしショウガをゴマ油でいためたら、そこに玉ねぎとにんじんを加えます。塩と昆布の粉末も入れて、中火でよくいためます。

野菜をじっくりいため、水分を出します。塩と水を少々足すことで、野菜の水分が出やすくなります。野菜のうまみがたっぷり凝縮された水分を、ここでよく引き出しておくのがポイントです。

このレシピで使用している、タマネギとニンジンが、ほどよい甘みを加えてくれるので、味のバランスがとれます。加える野菜によって味は変わってきますので、好みの野菜でお試しください。チョイサムの代わりに、小松菜などが使えます。

■家計にやさしい材料

パースでは白菜は寒い時期に豊富に出回る一方、チョイサムは1年を通して手ごろな価格で購入できます。家庭の常備野菜のタマネギとニンジンも活用できる、経済的に優れたメニューです。

あっさりした1品なので、しっかりした味の肉料理とよく合います。

スープを作るのは手間が掛かりますが、夕飯用に多めに作っておけば、翌朝の朝食にも活用できます。特に冬は、野菜たっぷりの温かいスープが白米と一緒に、朝食に食べられると、幸せを感じられます。

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。