第36回 日本食の代名詞『Tempura』を家庭でおいしく
わが家ではファーマーズマーケットで購入した、しいたけ栽培セットが順調に成長しています。目に見えて大きくなっていくので、家族の中でも毎朝話題の中心です。
さて、今回はもぎたてのしいたけで、天ぷらを作ることにしました。他にも、アスパラガス、なす、かぼちゃをあわせて天ぷらにします。
かぼちゃは、バターナッツかぼちゃ(Butternuts Pumpkin)という品種を使います。日本でも何年か前から見かけるようになりましたが、パースではかなりポピュラーな品種です。やわらかくて食べやすいのが特徴ですが、皮は硬いので、むくことをお勧めします。今回はてんぷら用に、5ミリメートル程度の厚さのいちょう切りにします。
まだまだ旬のアスパラガスも、茎の下の方の硬い部分を取り除き、半分の長さに切って揚げます。
ナスは、パースでは米ナスのような大きくて濃い紫色の品種が一番よく売られていますが、今回は少し前から見かけるようになったPurple striped eggplantという品種を使います。果肉が軟らかく、熱すると甘みが出てとろりとした食感になります。ただ、やはり皮が硬いので、ところどころむくことをお勧めします。また、ヘタの部分に鋭いトゲが生えているので、買う時や調理する時には、注意が必要です。天ぷら用には、厚めの輪切りにします。
■衣に使う小麦粉は?
パースで天ぷらを作る際に、材料選びのポイントとなるのは小麦粉です。
日本で売られている小麦粉は、グルテン含有量によって「薄力粉」「中力粉」「強力粉」というように種類が分かれています。このグルテンは、たんぱく質の一種で、生地の粘りや弾力性を出すものです。グルテンの含有量が少ない「薄力粉」はふんわりさっくりとしたスポンジケーキやクッキーなどのお菓子作りに向いており、含有量が多い「強力粉」はしっかりと膨らむパン生地づくりなどに使われることが多いです。
一方、オーストラリアで売られている小麦粉は、日本のような区別がなく、大きく「Plain flour」と「Self-Rising flour」に分かれています。これは、「小麦粉」と「ふくらし粉(ベーキングパウダーや重曹)が入ってる小麦粉」の違いです。
また、オーストラリアの小麦を使用した「Plain flour」は、たんぱく質含有量が約9%~10.5%で、日本の「中力粉」にあたります。
日本でてんぷらを作る際は、さっくりとした食感を出すため「薄力粉」がよく使われます。そのため、オーストラリアではお菓子作りに使うことが多い、低たんぱく質の小麦粉を使うことをお勧めします。
■天ぷらを揚げるときのコツ
最大のコツは、とにかく生地をよく冷やすことです。
卵と冷水は、まぜる直前に冷蔵庫から出します。何回かに分けて揚げる場合は、残りの生地を冷蔵庫に入れておくとよいです。また、生地は時間が経つとどうしても粘りが出るので、混ぜたらできるだけ早めに揚げ終えてしまうことが重要です。
揚げたての天ぷらは、すりおろしたしょうがを加えたてんつゆにつけても、塩でさっぱりと頂いても、格別のおいしさです。特にしいたけは、香りが衣までしみ込んでおいしいです。翌日は、天ぷらを残ったてんつゆで煮て、たまごでとじれば、家族向けのお弁当にも最適です。
投稿者プロフィール
- 1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。
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