第37回 栄養満点野菜、ケールの美味しい食べ方

歯ごたえがありほのかな甘みも

パースと日本では野菜の品ぞろえが異なります。日本では親しみがなかったけれどパースではよく売られている、という野菜として、ビートルートやシルバービートなどが代表的ですが、もう一つ、欠かせない野菜がケール(Kale)です。

栄養価に優れていることから、「世界で最も栄養豊富な野菜」と言われることもあるケール。最初は調理法がよくわからず、あまり買うことはありませんでしたが、最近ではわが家の常備野菜のような存在になりました。

ケールにもいくつか種類がありますが、最も一般的に売られているのが「カーリーケール」。葉が固く、フリルのようになっているのが特徴です。

また、「タスカンケール」も見かけます。こちらは緑色が濃く、葉が平たいのが特徴です。カーリーケールより柔らかいのに、噛むとシャキシャキとした面白い歯ごたえが楽しめます。

他にも紫色がかったケール、「パープルケール」などがあります。

ケールは食物繊維が豊富で、腸内環境を健康に保つのに役立ちます。また、緑黄色野菜に豊富に含まれるベータカロテンをたっぷり含んでいます。ベータカロテンは、摂取後体内でビタミンAに変わり、肌や髪の健康、免疫作用、視力、細胞の再生、新陳代謝の向上に役立ちます。

そのほかにも、ビタミンB、C、Kや、カリウム、カルシウム、銅、鉄分、マンガン、葉酸、など日常の食生活に必要な栄養素をバランスよく含みながら、低カロリーなことが特徴です。

■便利で使える!4つの理由

まず1つ目は、保存が効くことです。すぐにしんなりしてしまう他の葉物野菜に比べ、ケールは長持ち。ビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れておけば、一週間以上たっても傷むことなく使えます。

2つ目は、手軽に買えることです。スーパーマーケットなどでも、ほぼ通年を通して並んでいます。旬は、秋から春先の気温の低い時期。パースでは、夏の暑さが過ぎた頃出回り始めます。

3つ目は、下ゆでが不要なこと。例えば、栄養満点な緑黄色野菜として代表的なホウレンソウは、シュウ酸という成分が多く含まれており、摂り過ぎると結石の原因になるため、ゆでてアクを取り除いてから食べるのがよいと言われます。一方、ケールはシュウ酸が少ないため、ゆでるなどの下ごしらえいらずで、炒めものやオーブン料理にそのまま使えます。柔らかい葉は生で食べることもできます。

最後に、ケールは価格が手ごろです。特に冬の間は、新鮮でボリュームたっぷりの一束が、2豪ドル(1ドル=80円)程度で買えます。また、ファーマーズマーケットでは、ノンスプレー(農薬が使用されていない)のものでも2~3豪ドルで買うことができます。

■にんにくとレモンじょうゆ炒め

忙しい時ほど野菜たっぷりで栄養バランスがよい食事をとりたくなりますが、今回ご紹介するケールの炒め物はそんなときにぴったりです。

まず、ケールを洗ったら、葉を茎から切り分けます。葉をひと口大に刻んで、にんにくはスライスします。フライパンを強火にかけ、オリーブオイルを入れて熱したら、にんにくを入れて香りを出します。次に牛肉を入れて火が通るまで炒め、ケールの葉を加えたら、塩を振り、オイルが回るようにゆっくりかき混ぜながら炒めます。葉がしんなりして火が通ったら、しょうゆを回しかけ、全体に行き渡るよう混ぜます。さらにレモン汁を絞り入れ、サッと混ぜて火からおろせば出来上がりです。

この味付けは、肉を省いてケールだけでもおいしいです。溶き卵と合わせれば彩りもきれいで、お弁当のおかずにもよく合います。

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。