第12回 羊のしっぽは長かった!

ニュージーランド(NZ)のマスタートンに暮らすゲーリー・ワットさんは先月、自宅から約200 メートルの位置で交差するワイポウア川とルアマハンガ川付近で、羊のしっぽが大量に処分されているのを発見しました。ワットさんは過去にも幾度となく同様の現場に遭遇。水質汚染につながるとして、マスタートン警察やグレーター・ウエリントン州議会に対策を求めていました。

河辺で羊のしっぽを発見したと聞くと奇妙なかんじがしますが、羊が出産ラッシュを迎える春先には、珍しくない光景なんだとか。日本ではあまり知られていませんが、羊はもともと犬のように長いしっぽを持ちます。しかし衛生面の理由から、子羊のしっぽは生後1週間ほどで切り落とされます。これは断尾(ドッキング)と呼ばれ、方法としてはしっぽの根元に切断するためのゴムリングをはめ、しっぽの血液を止めます。すると3週間ほどで根元部分が壊死し、しっぽが自然に脱落するのです。子羊はリングをはめられた時は痛がりますが、すぐに慣れてしまいます。

しっぽを切る理由としては、羊のしっぽの筋肉が約9千年という長い家畜化の歴史の中で退化し、うまく動かせなくなったことがあります。そのためしっぽがあると、ふんや尿で汚れて不衛生となるほか、交配の邪魔にもなるのです。

断尾にはほかにもはさみで切り落とす方法などがありますが、現在はゴムリングを使う方法が一般的です。

ただし例外もあり、モンゴルなどで飼育されている「脂尾羊」( しびよう) という羊はしっぽを切りません。この種の羊はラクダのコブのようにしっぽに栄養分を溜め込めるため、断尾を行わず食用として珍重するのです。

普段羊のしっぽを目にする機会のないわたしたちは、たとえ道端に落ちているのを見ても、まさか羊のしっぽだとは思わないでしょう。ワットさんは子どもたちが遊ぶ川が汚染されないよう、今後も羊のしっぽが廃棄されていないかチェックするため、毎日川へ出向くとか。羊大国NZならではのパトロールといえそうです。

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